アウディ・スポーツ・クワトロ・コンセプト登場
公開 : 2013.09.04 20:00 更新 : 2017.06.01 02:15
アウディは来週行われるフランクフルト・モーターショーで新しいコンセプト・モデル、スポーツ・クワトロ・コンセプトを発表する。このスポーツ・クワトロは、まさしく現在のフラッグシップであるR8よりも上位にポジショニングするモデルで、プロダクション・モデル最強の座に付くことを目的としてる。
原型たる初代スポーツ・クワトロが登場したのは1983年のフランクフルト・モーターショーのこと。それから30年の時を経て復活した新しいスポーツ・クワトロはハイブリッド・エンジンを搭載したモデルに生まれ変わった。そして、アウディが1980年代のアイコンとなったスポーツ・クワトロの名前をそのまま引き継いだのも大きなニュースであると言えよう。
この新しいスポーツ・クワトロは、これまでで最も強力なガソリン・エンジンとモーターを組み合わせた690bhpのハイブリッド・ユニットを搭載する。そのベースとなるシャシーは、フォルクスワーゲン・グループの次世代のMLBプラットフォームであると予想される。
全長は4602mm、全幅は1964mm、全高は1386mmで、ホイールベースは2784mmだ。これはRS5よりも僅かに高く、長いホイールベースだ。ホイールベースがRS5よりも長いにもかかわらず、全長が短いということは、オーバーハングが短いことを意味する。そして、それは低く細長い印象をもたらしている。
アウディは2010年にもクワトロの再生にチャレンジしている。それは、新しいクワトロ・スポーツよりも150mm短く、1300kgのボディ・ウエイトを持ち、エンジンには5気筒のターボ・ユニットが搭載されていた。しかし、今回のスポーツ・クワトロがより強力なモデルに生まれ変わった背景には、2010年の標準的なクワトロよりもよりハイ・パフォーマンスなモデルを求める市場の要求があったということだ。
エンジンはアウディとベントレーの共同開発による4.0ℓV8ガソリン・エンジンと、液冷リチウム・イオン・バッテリーによる電気モーターの組み合わせ。フロントにマウントされるV8エンジンは単体で552bhpと71.3kg-mのパワー、トルクを持つ。更に電気モーターが148bhp、40.8kg-mをこれに加える。合計のパワー、トルクは、690bhp、81.6kg-mになるという。これが8速オートマティック・トランスミッションで迎合され、クワトロ・システムに分配されるという仕組み。ちなみに、リア・アクスルにマウントされるモーターを駆動するバッテリー・パックは14.1kWhだ。
この恐るべきパワーにもかかわらず、アウディはエミッションと燃費にも優れているとコメントしている。公表されているCO2排出量と燃費は、59g/kmと40.0km/ℓだ。
このエンジンの高効率化はシリンダー処理技術が大きく物をいっている。また、アイドリング・ストップと、パーシャル状態で4気筒をシャットダウンするシステムが組み込まれ、モーター単独でも50kmの走行が可能だという。
エンジン・パワーの管理は、インテリジェント・マネジメント・システムが採用されている。ドライバーは、EV、ハイブリッド、スポーツという3つのドライブ・モードを選択することができる。EVモードは完全にモーターのみの駆動。ハイブリッド・モードは燃費を優先したモード。そしてスポーツ・モードは、エンジン・パワーとモーターの駆動力を最もパフォーマンスが発揮されるように調整されるモードだ。
パフォーマンスは0-100km/hが3.7秒、最高速度は306km/hと発表されているが、これはR8のパフォーマンスを上回るものだ。
そのボディ重量は、ハイブリッド・システムの搭載もあって、2010年のクワトロの1300kgよりかなり重い1850kg。高張力鋼板とアルミニウムが基本ストラクチャーに使用されるが、カーボン・ポリマーがボンネットやトランクをはじめとしたボディ・パネルに使用される。
サスペンションは、ダイナミック且つ安定方向を目指したもので、スプリングとダンパー・セッティングを慎重にチューニングしたとアウディが語っているもの。フロントは左右それぞれに5本のコントロール・アームを持ち、リアには台形のリンクが用いられるのを特徴とする。
ブレーキはカーボン・セラミックで、ステアリングは速度感応式のパワー・アシストが付く。ホイールは285/30R21で、ホイールはセンターロック・タイプとなる。
長方形のダブル・ヘッドランプ、角ばったCピラー、フロントのブリスター・フェンダーなどはオリジナルのスポーツ・クワトロを思い起こさせるものだ。そして、現代的なアウディの特徴として、6角型のフロント・グリルなどを融合させている。
この他の特徴としては、CFRP製のフロント・スピリッター、バーチカル・ブレード・フロント・エア・インテーク、大きなフロント・ホールアーチ・ベント、狭いグリーンハウス、フレアしたサイドシル、リア・スポイラー、CFRP製ディフューザーなどが挙げられる。リア・スポイラーは、ハイスピードでは迫り上がるタイプだ。