【ルノーF1チーム代表インタビュー】激しいプレッシャー 勝負は2022年シーズン 新レギュレーションが復活のカギ

公開 : 2020.05.17 20:50

すべてが望む方向に

アビテブールは反論など口にしないが、決して納得はしていないようだ。

「10チームすべてにプレッシャーはあります」と彼は言う。「それでも、ルノーチームに掛かるプレッシャーは他とはやや異なる種類のものかも知れません」

アビテブールが自らのビジョンを語る。
アビテブールが自らのビジョンを語る。

「もっと毅然とした回答を示す必要があると思っています。皆さんこうしたF1撤退に関する質問をされますが、わたしにはその理由が理解出来ません」

「ルノーは42年間も何らかの形でF1に関わってきました。一貫性が不足しているのは認めますし、マネジメント体制も変わっています」

「それでも、ルノーチームにはふたつのファクトリー(エンジンはパリ近郊のヴィリー=シャティヨンで生産されている)と1200名のスタッフという確固たる基盤があり、今シーズンだけでなく来シーズンに向けても大きく進化しています」

「新コンコルド協定(この協定に基づき各チームに資金が分配されることになる)の方向性は正しく、われわれにとっては有利なレギュレーションが導入されることになります。すべてが望ましい方向に進んでいるのです」

「F1もいま変化の時を迎えている自動車産業の一部であり、それはルノーにも当てはまります。それでもルノーがメルセデス親会社のダイムラーより難しい状況にあるというわけではないでしょう」

「ルノーF1チームにはすでに価値があり、将来的にその価値はさらに大きくなります。その可能性を活かすことが出来るかどうかは、われわれのパフォーマンスに掛かっているのです。もしもっと良いパフォーマンスをお見せすることが出来ていれば、F1撤退の噂もなかったはずです」

電動化には反対

F1と自動車メーカーとの繋がりという彼の主張もまったく的外れだという訳ではない。

「コネクティビティ、電動化、人工知能、燃費性能、ライフスタイル…」など、彼は矢継ぎ早にそのメリットを上げる。

ルノーチームが最後にF1の優勝トロフィーを掲げたのは2010年のことだった。
ルノーチームが最後にF1の優勝トロフィーを掲げたのは2010年のことだった。

「バイオ燃料の導入は正しい方向への第一歩であり、さらに数多くの新たなテクノロジーが一般のモデルにも適用されるようになっています」

F1はハイブリッド時代を歓迎しているようだが、完全な電動化には反対している。

「個人的に電動化というのはF1が進むべき道ではないと思っています。非常に高いパフォーマンスレベルで300kmのレースを走り切るには、十分なエネルギー密度が必要だからです」とアビテブールは言う。

「現在のエネルギー密度を確保可能なバッテリー技術というものはまだありません。ルノーにとって今年の幕開けを飾るビッグニュースはPHEVモデルの導入ですが、電動化と内燃機関というのは、相反するものではなくお互いを補完する存在なのです」

F1が基本的には自動車業界全体と歩みを一にしているというのであれば、なぜ多くの自動車メーカーはF1ではなくフォーミュラEを選ぶのだろうか?

「求められるレベルに相応しいパフォーマンスを見せる能力がなければ、非常に大きなリスクに直面することになるからです」と、アビテブールは言う。

「すでに昨年4位を確保出来なかったことで批判を受けていますが、今年はポジションを取り戻すことが出来ると信じています」

「それでも4位は素晴らしい順位と言えるでしょう。多くのメーカーが参戦していて、なかには潤沢な資金を持つ有力チームも存在します。彼らはリスクがあるからと言ってF1を諦めたりはしないのです」

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