ロードテスト フォード・プーマ ★★★★★★★★★☆
公開 : 2020.04.04 08:50
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
プーマはルーマニアのクラヨーヴァ工場で生産される。フィエスタと同じB2プラットフォームをベースとするが、クロスオーバーらしくより広い室内空間を求めて延長と拡幅が施されている。そのサイズはフィエスタに対し、全長が146mm、ホイールベースが95mm長く、全幅は71mm、トレッドは最大58mm広い。
当然ながら、ルーフはグッと高くなった。デザインはジュークなどの向こうを張れる個性的なものだが、やや丸みを帯びたヘッドライトやぽっかりと口を開いたグリルには、どことなく初代プーマの面影も見いだせる。
フォードはベルトラインを、一般的なものより敢えてフラットにした。ライバルたちにはよくあることだが、これはノーズにかけてのプロポーションをバランスよく、あまり傾斜のないものにするためだ。
丸く膨らんだボンネットの下には、1.0Lのガソリン3気筒を搭載。英国では125psのエンジン単体とマイルドハイブリッド、155psのマイルドハイブリッドが設定されるが、フォードはハイブリッド版を積極的に売り込んでいる。
オルタネーターに代えて統合型スターター/ジェネレーターを採用。ブレーキによるエネルギー回生やエンジンを停止してのコースター走行、スロットルレスポンスと加速を向上するためのトルク補填を行う。とはいえ、そのトルクは5.1kg-mにすぎないので、劇的な加速力アップは望めない。
このマイルドハイブリッドは、ターボラグの埋め合わせも行うため、フォードはより大きなターボチャージャーを装着できた。気筒休止はハイブリッドシステムを備えない既存のエコブーストエンジンからキャリーオーバーされ、軽負荷時にたった14ミリ秒で2気筒へ切り替える。
今後は1.5Lの4気筒ディーゼルが導入される予定で、STバージョンの設定も検討されている。だが今回は、125psのガソリンハイブリッドと6速MT、17インチタイヤを組み合わせた仕様をテストする。
地上高を引き上げたため、背の低いフィエスタ以上のサスペンションが備わるが、リアのトーションビームは硬くなり、サスペンションマウントもハードに。トップマウントも刷新された。
過剰に硬いサスペンションはクロスオーバーに共通する問題点だが、それはコーナリング時に背の高いボディの動きを抑えようとしてのこと。それだけに、フォードの言い分通り、新型プーマがクラス最高峰の走りを実現できているのかは興味深いところだ。