【421psの走りは?】AMG CLA 45 S試乗 新型CLAクラスのトップモデル、価格/内装も評価

公開 : 2020.04.06 10:20  更新 : 2021.12.28 00:06

ブレーキも、ハンドリングも秀逸

ブレーキコントロールも秀逸。応答遅れなく踏んだ分だけ制動力が立ち上がり、ハードブレーキングの繰り返しにもへこたれない制動容量が確保される……という高性能車の当たり前はともかくとして、ペダルフィールは軽く、踏力に対するストロークも確保されている。

一般走行での軽い制動ではストローク、ハードブレーキングでは踏力でコントロールというのが扱いやすいスポーツモデルの常套だが、CLA 45 Sは微制動から全制動まで適度なストロークと踏み応えを示す。

ブレーキのコントロール性が秀逸で、緩め側も意のまま。
ブレーキのコントロール性が秀逸で、緩め側も意のまま。

しかも、踏み込み側も緩め側も同じようにである。

ブレーキのリリース側のコントロール精度は現代のスポーツ走行でのコーナリングの基本でもあるクリッピングポイントまでブレーキを残す走り方ではかなり重要。そのコントロールが意のままにできる。

操縦系はバランスが重要。アクセルペダルとブレーキペダルの操作感や反応は前述したとおり。ならば操舵感や操縦性も、と予定調和的に帰結する。

操保舵力は軽めだが、SAT(セルフアライニングトルク)の変化などの手応えは的確だ。切れ味はそれほど鋭くない。スポーツモデルのトップエンドでは穏やかと言ってもいい。

ただし、応答遅れはない。操舵初期から操舵量に応じてヨーが立ち上がると同時に横Gも増加する。操舵に直結してラインを刻み込むような感じだ。

乗り心地 こう見えて穏やか

車両挙動に応じた細かな修正は、大概の場合は不要。例えば、多少段付きのような操舵を行ったとしても挙動はそれらを滑らかに繋ぎ、ラインの乱れもない。

横Gの増加やコーナリング中の加速に応じて多少舵角を増加させるが、4輪の接地バランスは常に安定。安心感とコントロール性に優れた弱アンダーステアを維持する。

メルセデスAMG CLA 45 S 4マティック+の前席内装。
メルセデスAMG CLA 45 S 4マティック+の前席内装。

言い方を換えるなら操る醍醐味とか乗りこなす悦びが希薄なのだが、苦労して乗りこなすよりも心地よく操れて綺麗な走りができるほうがいい。

高性能の王道と言うべきだろう。

心地よさのもう1つの決め手は乗り心地だ。車体骨格からトレッド接地面が一体となりしなやかに路面をトレースしていく。

不要な揺れや角のある突き上げは少ない。動き出しは緩やかですぐにストローク速度を締めるサスの動きは数値的には硬いのだろうが、体感的には柔らかに感じられる。

この印象はダイナミックセレクトを「スポーツ」にセットしても大きく変わらない。

負担Gや速度の上昇に応じてストロークを締めるが、ストローク中立付近の動きは「コンフォート」同様の穏やかさを保つ。

硬くなっても荒くはならないのだ。「速」「楽」「快」なCLAなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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