【何より怖いサビ】ポルシェ911 930型ビッグバンパー 英国版クラシック・ガイド
公開 : 2020.04.12 07:50 更新 : 2020.12.08 10:55
最も扱いやすいポルシェ911のクラシックモデルといえるのが、1974年から89年までの、ナローの次に当たるビッグバンパー・モデル。価格もまだ手頃なうちに入るといえます。気をつけて選べば、充分に楽しむことも可能です。
もくじ
ー乗りやすさが向上したビッグバンパー
ー装備や仕様ではなくコンディション
ー930型911の中古車 購入時の注意点
ー不具合を起こしやすいポイント
ー英国で掘り出し物を発見
ーオーナーの意見を聞いてみる
ーまとめ
ーポルシェ911(930型/1974年−1989年)のスペック
乗りやすさが向上したビッグバンパー
およそ10年間続いた、ナローと呼ばれる細身でテールハッピーだった911。後継型として熟成された930型が、1974年に登場した。大きなバンパーとパワフルなエンジンを搭載し、ホイールベースが延長されている。
ポルシェ911はどの時代でも、同等の性能を持つスポーツカーより優れた耐久性と品質を備えてきた。しかもリアシートには子供を乗せられ、荷物用のスペースもちゃんとある。ライバルより実用性でも上だった。
むやみに飛ばせばしっぺ返しも食らったが、技術のあるドライバーが運転すれば、センセーショナルといえる走りを披露。究極のドライビングに挑戦したい向きには、ターボモデルも用意された。
ポルシェは930型の開発で、洗練性を高めることに注力している。装備は充実され車重も増えたが、追加されたパワーで、自然吸気モデルでも運動性能を下げることはなかった。
1988年型のクラブスポーツは、1973年型のカレラRS2.7ツーリングよりわずかに速い程度ながら、930型は間違いなく乗りやすい。今日へと続く、毎日乗れるスポーツカーになっていた。
1975年後半からは亜鉛メッキのボディシェルが採用されているが、1989年までのポルシェ911の最大の問題となっているのが、ボディのサビ。
サイドシルや、Bピラーの後ろに隠れるリアのホイールアーチ内側のキドニーボウルと呼ばれる部分が鬼門。大体のクルマがサビていて、修理にはそれなりの費用が掛かる。
装備や仕様ではなくコンディション
サンルーフが付いている場合、排水口が詰まってフロントとリアガラス下部が錆びることも珍しくない。サイドガラス下のサビも一般的。
フロントフェンダーのライト付近も確認したい。他にもドアの下にAピラーとBピラー、バッテリーの下、前後のフロアパン、リアシートの下、トーションバーなども要注意。過去にサビの修理でパネルが溶接されている部分があるなら、そこの状態も確認する。
930型のポルシェ911は、英国ではサビの手当をどこかしら受けているのが一般的。多くはお金もケチらずに直してある。
腐食が少ないアメリカ仕向けの並行車両を購入する場合、距離を重ねたメカニカル部分の交換で費用がかさむ場合もある。インテリアトリムも日に焼けていたら交換したい。サビが出にくいぶん、ボディは再塗装だけで済むこともある。
クラシックな911は、笑顔になるような敏感なドライビングを楽しめる。ブレーキングを早めに完了し、コーナー出口でパワーを掛ければ、巨大なトラクションでライバルを出し抜く加速を見せつける。クルマ好きのカップルや若い家族でも困らない、実用性も兼ね備えている。
930型でも珍しいモデルには高い値段が付いているが、手頃な価格の911もまだ見つかる。どのクルマでも、スタイリングと実用性は変わらない。もし930型の911を楽しみたいのなら、装備や仕様ではなく、コンディションで選びたいところだ。