【予期せぬ成功?】日産スカイラインにみる 「インフィニティ」ブランド日本上陸の可能性
公開 : 2020.04.05 05:50
「スカイラインは終わった」不評から大好評へ
「スカイラインは、もう終わった」
2001年に登場した第11世代(V35)に、日本の自動車メディアは極めて厳しいコメントを連発した。
スカイラインは80年代末から、R32、R33、R34へと順調な進化を見せていた。ベストカーやCARトップなど、日本の自動車雑誌は毎号のように、GT-Rを軸足として次期スカイラインのスクープ記事を掲載していた。
ところが、スカイラインはGT-Rと分離されたモデルとして、1999年東京モーターショーに出展されたコンセプトモデル「XVL」をベースに量産化された。
日本で不評のV35だったが、アメリカにインフィニティG35として渡ると事態は大きく変わった。
「BMWのような華麗な走り」といった切り口で、米自動車メディアが絶賛。G35はアメリカで大ブレイクした。
当時、筆者は北米日産本部からG35広報車を借り、ロサンゼルス周辺で他社モデルとの比較試乗などを頻繁におこなった。
また、インフィニティ・ディーラー経営者や、G35ユーザーのインタビューも定常的にしていた。
その中では「Z(ジィ―)と同様に、レースで鍛えられた日産FR(フロントエンジン・リア駆動)のヘリテージ(歴史)を感じる」といったポジティブな意見が多数を占めた。
G35の登場によって、日産のインフィニティ戦略が大きく前進。いま振り返ると、G35はインフィニティの分岐点だった。
インフィニティ、日本上陸の可能性は?
G35を契機に、インフィニティの躍進が始まる。
なかでも注目されたのが、2003年登場のFXだ。プラットフォームやエンジンをG35(V35スカイライン)と共有するSUVで、生産は日産栃木工場だ。
アメリカでは90年代に始まったSUVブームが2000年代に入り、欧州ブランドが相次いで参入したことでSUVのプレミアム化が加速。その波にFXがしっかり乗った。日本でも逆輸入の左ハンドルFXが都内で増えていった。
2007年にはFXより少し小さい、EXが登場。これを、スカイライン・クロスオーバーとして日本で発売。
だが、G35→FX→EXというインフィニティとして進化を知らない日本のユーザーにとって、スカイライン・クロスオーバーといきなり言われてもピンとこない。
2013年には「モデルラインナップ拡充のため、商標対応を含めて数字表示に切り替える」(当時の日産幹部)として、インフィニティはセダンとクーペがQ、SUVがQXに名称変更した。
2019年登場のスカイラインでは、インフィニティのキャラクターデザインが消え、日産ロゴがついた。
こうして、インフィニティの歴史を振り返ると、日本での日産ブランドとの整合性を持たせることの難しさを痛感する。
つまり現状で、インフィニティ単独ブランドとしての日本展開は、極めてハードルが高いと言わざるを得ない。