【BMW M3とAMG C63へ挑戦状】レクサスIS F 英国版中古車ガイド 信頼性は高い

公開 : 2020.04.09 10:20  更新 : 2021.07.12 18:46

2008年にレクサスはISをベースに徹底的なチューニングを施した422psのIS Fを発表。BMW M3に対するレクサスからの挑戦状となりました。英国で中古のIS Fを選ぶ時の注意点といえば、中古車自体を探すことのようです。

BMW M3とメルセデスAMG C63のライバル

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
今に始まったことではないが、自動車メーカーは技術力の高さをサーキットでアピールしてきた。最近では韓国キアのスティンガーGT S。2008年といえば、レクサスのIS Fだ。

圧倒するほどの洗練度と信頼性、ハイブリッド技術を搭載したサルーンとして、英国での評価も高かったレクサスIS。高性能版のFの登場に、英国市民は驚き、喜んだ。

レクサスIS F(英国仕様)
レクサスIS F(英国仕様)

BMW M3やメルセデスAMG C63のライバルとして設定されたのがIS F。搭載したエンジンは、当時でも珍しい自然吸気の5.0L V8エンジン。最高出力は422psを発揮していた。

トランスミッションはパドルシフト付きの8速ATで、後輪を駆動。2速からロックアップ機構が付き、変速はクイック。レブリミッターへ勢いよく飛び込む。そのかわり中古車では、過度に回しすぎたことで生じる異音に気をつけたい。

サスペンションは軽量で強固な鍛造製。アンチロールバーも強化品となる。訴求力の高いセッティングの中で唯一引っかかるのが、電動パワーステアリングの採用だろう。

クルマは安くはなかったが、レクサスの優れたイメージに加えて、品質や技術的な内容、強い存在感が重なり、ドライバーはIS Fを受け入れた。当時の試乗レポートでは、エンジンサウンドやシャシーバランス、強力なブレーキなどが高く評価されている。

一方、変速にもたつきがあるトランスミッションと、硬い乗り心地、LSDの不採用などに不満を示している。電子制御されるオープンデフが付いていたのだ。

レクサスらしく中古車でも信頼性は高い

レクサスはこの反応に耳を傾けていたようだ。2010年になると、本物のLSDが搭載される。ナビゲーションもアップグレードされた。

さらに数カ月後には、スプリングとショックアブソーバーの設定を見直し、乗り心地も完全ではないものの改善が施されている。リアサスペンションは、安定性の向上も図られている。

レクサスIS F(英国仕様)
レクサスIS F(英国仕様)

インテリアでは、計器パネルのデザインを変更。LEDデイライトがHIDヘッドライトに追加されている。生産は2014年まで続けられた。

細かな改良を受けていたのにも関わらず、英国で販売されたIS Fはわずかに200台。M3より珍しいクルマが好きなら、この台数の少なさには惹かれるかもしれない。その分、中古車としての選択肢は少ない。

現在英国で流通しているレクサスIS Fの中古車は10台前後。いずれも程度は悪くなさそうだ。個人売買の車両なら、オーナーと直接話が聞けるというメリットがある。

オーナーの多くは、IS Fの信頼性を讃えながら、大切に維持している。筆者からのアドバイスは、安くはない提示価格を、そのまま受け入れないことくらい。

IS Fで起きうる不具合を時間を掛けて調べてみたが、唯一見つかったのが、ウオーターポンプとヒート・エクスチェンジャーからの液漏れ。発生率の高かった初期のクルマは、保証期間中に対策品に交換済みなことが多い。

責めるほどではない。BMW M3でも、似たような問題を抱えていた。

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