【電圧48VのマイルドHV】スズキSX4 S-クロス 欧州の規制強化に対応 英国試乗
公開 : 2020.04.12 10:20
硬いプラスティックが目立つインテリア
S-クロス最大の弱点は、サスペンション。路面のうねりなどに対する乗り心地は記すほどではないものの、傷んだ路面や隆起部分で生じる振動には触れざるを得ない。低速域では落ち着きがなく、ツギハギや路面が剥がれた箇所の存在を常に車内へ教えてくれる。
反面、コーナリングマナーは悪くない。ボディーロールは過度に発生せず、アンダーステアも抑制できている。郊外の道でドライブを楽しめる安価なクロスオーバーなら、セアト・アローナが今も優勢にあるけれど。
S-クロスのステアリングは一貫性があり、重み付けも妥当。ただし、ドライバーを刺激してくれるほどではない。
パワートレインは新しくなったとしても、S-クロスの発表は7年前。基本的にそれ以外、大きな違いはない。
前席は充分な広さがあり、後席も180cm以下の大人なら問題なく座れる空間を確保。荷室空間の広さは、クラス平均以上はある。
インテリアはデザイン的には新鮮味がなく、硬質なプラスティック製部品が広範囲に用いられている。インフォテイメント・システム用のタッチモニターは、どこかアフターマーケット製品を組み付けたようだ。グラフィックも一世代昔といったところ。
だが操作しやすい位置にあり、デジタルラジオとブルートゥースを内蔵。アップルやアンドロイドのスマートフォンとのミラーリング機能にも対応するから、標準のシステムを避けることもできる。
市場の人気傾向を変えるほどではない
素晴らしいのが、英国トップグレードのSZ5にはルーフいっぱいのサンルーフが備わり、実際に開くこと。嬉しい装備だ。
CO2の規制が厳しくなるタイミングで、スズキが改良を間に合わせたというスピード感は、高く評価できるものだと思う。実環境ではそれほど優れた燃費改善を得られていないとしても、新しい電圧48Vのシステムは、理にかなった内容だといえる。
ユーザーや自然環境だけでなく、自動車メーカーとしても改良は意義がある。足を引っ張るとすれば、2000ポンド(27万円)ほど高くなった英国価格。ハイブリッド以外は大きな変更は受けていないから、手放しには受け入れ難い。
読者もご存知の通り、同価格帯には似たクロスオーバーがひしめいている。マイルド・ハイブリッドを採用したモデルも存在する。フォード・プーマはその優等生としての筆頭。運転の楽しさは間違いない。
マイルド・ハイブリッドを獲得したスズキSX4 S-クロス。自然と隣り合わせのドライバーにとっては、ロック機能付きの本格的な4輪駆動に惹かれるかもしれない。だが、市場の人気傾向を変えるほどの進化とは、いえないだろう。
スズキSX4 S-クロス 1.4ブースタージェット・ハイブリッド(英国仕様)のスペック
価格:2万7500ポンド(371万円・予想)
全長:4300mm
全幅:1785mm
全高:1585mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:10.2秒
燃費:16.1km/L
CO2排出量:139g/km
乾燥重量:1285kg
パワートレイン:直列4気筒1373ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:128ps/5500rpm
最大トルク:23.8kg-m/2000rpm
ギアボックス:6速マニュアル