【9万人の集団訴訟】フォルクスワーゲン ディーゼル問題 英国でも不正と裁定
公開 : 2020.04.08 19:20
VWを相手取り、英国のオーナーが起こした、ディーゼル問題に関する集団訴訟で、同社が搭載したソフトウエアを不正なものだったとする裁定が下されました。次の審議は、今年末もしくは2021年初頭に行われるそうです。
テストの本来の目的に反する不正なもの
フォルクスワーゲンは、ディーゼル問題をめぐって、英国のVWグループの車両の所有者が起こした、高等裁判所への訴訟における重大な審議で、敗北した。
英国の法律史上最大の消費者訴訟となると言われている、この集団訴訟は、アウディ、セアト、スコダ、VWの車両のオーナー約9万人が、欧州の排出基準をクリアするための「不正なソフトウェア」の設置に対する、補償を要求している。
オーナー側の弁護士は、VWがローリングロードテスト中であると検出すると、エンジンの燃焼を一時的に改変し、NOx排出量を最大40倍減らす無効化装置を装着することにより、不正を働いたと主張していた。
本訴訟の裁判官、ワクスマンは、EUで定義された分類に基づき「問題となっているソフトウェアは、確かに不正なものである」と裁定した。
ワクスマンは、これに同意した様々な裁判所や業界団体に言及し「この結論は多くの支持を得ている」と述べている。
また、VWの言い分を「不備な点が多く不条理」とし、「車両の運転状況を判断し、テストに合格することを可能にするソフトウェア機能は、テスト本来の目的に反するもの」と付け加えた。
原告約7万人を代表する、スレーター&ゴードンの訴訟責任者は「この判決は、クライアントはずっと以前から知っていたが、フォルクスワーゲンが受け入れていなかった事実を、再確認したものです」
「つまり、フォルクスワーゲンは、排出試験に不当に合格するために、英国の数百万台の車両に不当なソフトウエアを取り付けたということです」
一方、VWは、判決内容に対し「落胆しています。問題の一部にしか言及されていません」と述べ、上訴する姿勢を見せている。
「この判決は、責任、因果関係または損失の問題を決定するものではありません」
「フォルクスワーゲンは、申立人がいかなる損失をも被らなかったという、わたし達の主張に確固たる自信を持っています」と付け加えた。
一連の訴訟の、最初の公聴会は2019年12月に始まり、1.2L、1.6L、2.0Lで販売される同社の「EA189」ディーゼルエンジンに、このような装置が搭載されていたかどうかが確認された。
この訴訟には、「因果関係」の決定、つまり不正ソフトウエアがダメージを引き起こしたかどうかの判断を含む、さらなる段階が控えており、今年末もしくは、2021年初頭に審理される予定となっている。
VWが最終的に有罪であると判断された場合、数億ポンド(数百億円)の補償金支払い命令がだされる可能性がある。
同社は、搭載したソフトウエアは、英国の法律に違反するものではないと主張し、多くの英国のオーナーへの補償を拒否している。
また、アメリカなどの国における同様の訴訟では、オーナーとの和解に達している。