【完璧・万能なスーパーカー】ポルシェ911ターボSへ初試乗 992型 650ps獲得 前編
公開 : 2020.04.10 10:20
最大トルクに合わせて駆動系も見直し
最大トルクは5.1kg-m増しの、81.4kg-m/2250-4000rpm。これまで最も過激だったロードゴーイング911のGT2 RSと比較すると、出力は50ps低いが、トルクは5.1kg-m強い。
この最大トルクの増強に合わせて、デュアルクラッチ8速ATはアップグレード。マルチプレート・クラッチによる4輪駆動システムも新しくなっている。
車内は先代から大きくお化粧直しを受けた。ドライビングモードを選択する、コントローラー付きのステアリングホイールが採用され、シフトパドルも備わる。メーターパネルはデジタルモニター式。インフォテインメント・システムには、10.9インチのモニターが充てがわれる。
美しく整えられたセンターコンソールを含めて、すべてが高品質。ボディサイズが大きくなったとしても、992型の911も以前通り2+2。リアシートは子供向け。
フロントには128Lの荷室がある。リアシートの背もたれを倒せば、264Lの荷室としても利用できる。
基本情報はこのくらいにして、ターボSを走らせてみよう。
エンジンをスタートさせると、おなじみの硬質なメカニカルノイズが迎えてくれる。新ユニットとなったとしても、ノイズは正統派の911。アイドリング状態では、リアに突き出たフラット6の脈動が大きく、排気音をかき消す。
シフトレバーを手前側に倒し、道を進み始めると音響は変化する。といっても、最新のターボSは、コンフォート・モードを選んでいる限りマナーは悪くない。静かというわけではないものの、騒がしいとも感じないレベル。
GT1やGT2 RS、GT3 RSより速い
ややザラついた音色の排気音は、991型より狙ったもののように聞こえる。試乗車にも付いていたが、オプションのスポーツエグゾーストによるものだろう。それでも、まだ落ち着いた音量にある。
長い間、トップグレードのポルシェ911が備えていた強みでもあるが、992型ターボSも変わらず、充分に周囲に馴染めるほど文化的。郊外の開けた道へ向かう途中、都市部の交差点を縫って走る間は、一般的なホットハッチと同じくらい運転がしやすい。
スポーツ・モードに切り替え、右足に力を込めると、見事な深みのある響きを引き出すことができる。自然吸気のポルシェ製ユニットに劣らない、魅力的なサウンドだ。
走行性能は、異次元と呼べるほどのレベル。低速ギアでの加速時には、その力強さを常に気に留めておく必要がある。0-100km/h加速に要する時間は2.6秒。991型ターボSより0.2秒縮めてきた。
現状では、これまでの量産版ポルシェ911で最速となるのが、992型ターボSとなる。つまり、これまでのGT1やGT2 RS、GT3 RSよりも速い。
中回転域でのたくましいトルクと、4輪駆動が生む凄まじいトラクションによって、加速力は爆発的と呼べるもの。0-200km/h加速も1秒縮めて、わずか8.9秒しかからない。
広い回転域で太いトルクが得られるため、高いギアでも効果的な加速を実現している。高速域でも途切れることなく線形的に速度を乗せ続け、300km/h台のスピードに到達。超高速域では、最高速度となる329km/hで170kgに達するダウンフォースが、出色の安定性を与えている。
この続きは後編にてお伝えしたい。