【新型コロナウイルス】世界の自動車産業、中国市場から学べること 鍵は超高級車とオンライン
公開 : 2020.04.09 11:20
鍵はオンライン販売の広がり
われわれのアンケートに答えてくれたすべての中国主要自動車メーカーが、封鎖期間を使って今後の準備を進めていた企業のほうが、いち早く回復軌道に乗ることが出来たと強調している。
販売急減に続いて、徹底した隔離政策が導入されているが、ひとびとが家に籠るようになったことでインターネット通信量が増加しており、自動車メーカーでは新車購入を考えるひとびとに対して、オンラインでの情報提供を充実させている。
さらには、実際にオンラインでクルマを購入するひとびとも増えており、すでにこうしたオンライン販売に取り組んでいたある企業は、「オンライン販売の契約数は数百から数千へと急増しています」と話している。
「オンラインセールスの本格的な普及を心待ちにしていました。ふたたび外出が許されるようになってもオンライン販売の契約数は伸び続けています。ようやくこうした販売手法が根付き始めたと言えるでしょう」
さらに、こうしたオンライン販売を後押しするような新たな手法も導入されている。
トラックの荷台に新車を乗せて自宅まで運ぶなどまったく目新しいものではなく、ホームデリバリーと聞くとなんでもない様に思うかも知れないが、いまや新車のキーと書類の運搬方法は変化しているのだ。
ドローンやロボットを使って感染拡大に必要なひととの距離を確保するなどと言えば、中国以外では奇異に聞こえるかも知れないが、ジーリーが最初に導入したこのやり方は、すでに中国では納車手続きを完了するための方法として許容されるようになっている。
ふたたび前へと進める方法は
最後にこの新型コロナウイルス感染拡大が収束したあと、自動車産業をふたたび前へと進める方法についても見ておこう。
こうした事態に限らず、反転攻勢へと移る正しいタイミングを見極めるというのは簡単ではないが、われわれが話を聞いた中国メーカー各社は、他社に先駆けて受注と生産の再開準備整えることの重要性を説いていた。
一度生産を休止した工場を直ぐに立ち上げることなど出来ないが、多くのメーカーが先手を打つことで、より迅速に市場ニーズに応えるとともに、潜在的な需要の多くを取り込んでシェア拡大を図ることが出来たと言う。
今回の危機が短期的にも長期的にも大きな変化をもたらすとしても、英国にとっての自動車産業が、おそらくはかつてないほど重要な存在になっているというのは明るいニュースと言えるかも知れない。
自動車産業はつねにその価値と先進的な思考を体現することで、長年に渡る繁栄を築いてきたのであり、今回も必ずや復活することを願う。
番外編:パリモーターショーもキャンセルに
新型コロナウイルスの世界的な蔓延とその経済的影響に言及しつつ、今年のパリモーターショーが「現行の形式」で開催されることはないと主催者は発表している。
この隔年開催のモーターショーはパリにあるポルト・ドゥ・ヴェルサイユ見本市会場で9月29日に開幕する予定だった。
ドイツで行われるフランクフルトモーターショーと交互に開催されるパリモーターショーは、2018年には100万人以上の来場者を集めており、世界最大規模を誇るモーターショーのひとつとなっている。
声明で主催者側は「未曽有の公衆衛生の危機」と、自動車産業を襲う「経済ショック」を受けて決断したと説明している。
今年のパリが伝統的なモーターショーとしては開催されない一方、持続可能性サミットやスマートシティに関するイベントなどについては「中止の予定はない」と言われている。
さらに主催者側は、「以前とは何もかもが変わり、われわれは今回の危機から機敏さと想像力を学ぶとともに、これまで以上の革新性を身に付ける必要がある」とも述べている。
今年から6月開催予定だったデトロイトも中止が決まっており、会場のTCFセンターは州知事と連邦緊急事態管理庁からの要請に基づき、臨時の病院として使用されることになっている。