【類のない長距離の心地よさ】メルセデス・ベンツE 300de EQパワー(4) 長期テスト

公開 : 2020.04.12 11:50

長距離走行に最適なディーゼルエンジンに、都市部に適したハイブリッド、ステーションワゴン・ボディという、理想的な組み合わせに思えるE 300de。短距離ながらEVモードでの走行も可能です。その実力の高さを、長期テストで確認します。

積算1万1453km 座れば落ち着いた気分に戻れる

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マクラーレン600LTスパイダーが優勝した、英国編集部のドライバーズカー選手権2019。2日間走り込んで疲れた夜、審査会場から5時間の帰路を過ごすのに、どんなクルマが良いだろう。

メルセデス・ベンツE 300de以外にも、心地よく家路を急げるクルマはある。だが、E 300de以上のクルマとなると、少ない。

メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)

11台のドライバーズカーを審査するという、神経の尖った状態の直後。E 300deに座ると、血圧が下がり、落ち着いた気分に戻れる。とても珍しく、特別なクルマだと思う。

積算1万2696km クルマに乗る目的にピッタリ

前回のレポートではプラグイン・ハイブリッドについて少し詳しく触れてみた。今回はハイブリッド以外の部分を書いてみたいと思う。

ところが実際は、ハンドリングや乗り心地、走行性能、経済性など、良くも悪くもハイブリッドと密接に関係している。車両価格やランニングコスト、実用性も。ハイブリッドに触れるつもりはないとしても、結局はハイブリッドについて触れざるを得ない。

メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)

少し角度を変えて進めてみよう。E 300deは順調に距離を重ねている。理由は、筆者が自動車に乗る目的の主要な2つに、完璧なほど合致しているためだ。

まず、1人目の娘の送り迎えとして、学校までの往復30kmを運転している。燃料代を安く済ませられるうえに、とても静かに移動できるから、手段としてピッタリ。

そしてもう1人、大学生の娘が住むダーラムへの、往復800kmの定期的な旅行もある。わたしの人生にとって大切な、クルマに乗る目的だ。

清々しくリタイアしたスパ6時間

あるいは、ベルギーのサーキット、スパ・フランコルシャンへ向かう往復1600kmの長旅にも、E 300deは好適。筆者は、家族とともに古いフォード・ファルコンでスパ6時間耐久レースへの参戦を続けている。クラシックカー・レースでは最も名の知れた長距離レースで、ライフイベントとなっている。

スパへ行くと、必ず旧コースにあったマスタキンクと呼ばれたコーナーへ向かう。最も難しいセクションとして、多くのドライバーに恐れられていた場所だ。なかなかレースは完走できないが、儀式として訪れている。

スパ6時間耐久レースへ参戦したフォード・ファルコン
スパ6時間耐久レースへ参戦したフォード・ファルコン

ある年、筆者はファルコンをクラッシュさせた。別の年には走行中、クルマからホイールが外れたこともあった。3位を走行中に、エンジンを脱落させたこともある。数年前、クリス・ハリスはファルコンのリアエンドを激しく燃やした。他にも思い出は尽きない。

だが、今年は最も印象深いほど、残念な結果になった。6時間の耐久レースも終盤、残り20分を切ろうとしていた。ファルコンは例年にないほど調子が良く、今までにない勢いで勾配の大きいサーキットを走っていた。

ところが、あと数周というところで、オルタネーターからワイヤーが脱落。サーキットの真ん中でクルマは停止を余儀なくされた。

レースをリタイアするなら、少なくとも始動を試みるとか、少し強引に粘るように決めていた。でも今回に限っては、うんともすんともいわず、そこで清々しく終わり。

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