ヒュンダイ・ヴェロスター 1.6 GDi ターボ
公開 : 2012.04.20 17:44 更新 : 2021.02.20 18:32
■どんなクルマ?
数カ月前にハンサムなヒュンダイ・ヴェロスター・クーペが登場して以来、英国市場で待ちに待ったモデルこそがこのヴェロスター・ターボだ。繰り返し行われたテストの結果、そのエンジン・パワーはツイン・スクロール・ターボを装着した結果、ノーマル・アスピレーションよりも45bhpも大きい183bhpにまで高められた。また、トルクもスタンダード・モデルの17.0kg-mから27.5kg-mにまで上げられている。
もちろんそのパワーの上昇に合わせてサスペンションは強化され、ステアリング・ラックもシャープなレスポンスを持つものに変更されている。
エクステリアでは、フロントとリアのパンバーがよりがっしりとしたものとなり、リア・ディフューザーも内蔵され、サイド・ガーニッシュもより膨らんだものに変更されている。更に、リア・エンドはスタンダード・モデルよりも丸く大きくなったツイン・エグゾーストが、そのパフォーマンスを誇示することとなる。
ディメンジョン的には、2650mmのホイールベースは変わりないものの、30mmほど低く、15mmほどワイドになっている。
■どんな感じ?
スタンダード・モデルよりも当然速いが、ホット・ハッチに飢えている英国人を満足させるものではない。それでも、快活なエグゾースト・ノートを響かせるこのターボ・チャージド・モデルの速さは十分に楽しめるものではあるのだが…。
ツイン・スクロール・ターボ・エンジンは6500rpmのレッド・ラインまで回すことによって、スタンダード・モデルよりも1.3秒速い8.4秒で0-100km/hを駆け抜ける。
しかし、十分に早いかといえば疑問が残る。同じヒュンダイには、220bhp、1.6リッターのi40が存在するからだ。ヴェロスター・ターボはミニ・クーパーSのライバルにはなりえても、フランスのホットハッチを代表するルノースポール・メガーヌのライバルにはなりえないようだ。
また、われわれが今年の1月にヴェロスターGDiをテストした時に疑問に思った「快活なステアリング」だが、ステアリング・ラックの変更によってクルマのダイナミクスは向上したものの、まだまだフィードバック不足が否めない。
また、コーナリング中の急激な姿勢変化は非常にトリッキーだ。そのずさんなボディ・コントロールは、ラインナップの中でも最もホットなモデルに期待するだけのものがない。i30と同じようにヴェロスターはヒュンダイのKプラットフォームをベースに造られているが、そのリアのトーション・ビームのセットアップの許容量の小ささが、ハンドリングの欠点を生み出しているのかもしれない。
ただ、ペダルの重さは適切で、6速ギアボックスも素早いシフトに適切に反応してくれた。
ヴェロスター・ターボのインテリアは、ノーマル・アスピレーションの兄弟車と同じようなフィッティングとフィニッシュが保たれている。最終的な英国用のトリムは決定していないようだが、本革のシートはサポートも良く座り心地も良かった。
■「買い」か?
気まぐれなターボチャージド・クーペが欲しいのであれば、ヴェロスター・ターボは良い選択かもしれない。但し、そのハンドリングを含め、ボディ・コントロールを上手く行うには、少しばかりアドレナリンの数値が高くつきそうではある。
(アレックス・カースティン)
ヒュンダイ・ヴェロスター 1.6 GDi ターボ
価格 | 23,500(307万円) |
最高速度 | 214km/h |
0-100km/h加速 | 8.4秒 |
燃費 | NA |
Co2排出量 | 157g/km |
乾燥重量 | 1255kg |
エンジン | 直列4気筒ガソリン・ターボ1591cc |
最高出力 | 183bhp |
最大トルク | 27.5kg-m |
ギアボックス | 6速マニュアル |