【アウディ・クワトロ40周年】選りすぐりの5台を乗り比べ 歴代最高のクワトロとは? 後編
公開 : 2020.04.19 08:50
番外編1:さらに特別なクワトロ
スポーツクワトロ(1984年)
このスポーツというモデルは1984年のグループBラリー向けに登場したホモロゲーション用の特別なクワトロであり、狂気のルックスと驚くほど短くなったホイールベースを与えられていた。
310psのパワーを誇る当時史上最速のアウディであり、わずか200台に留まる生産台数によって、現在ももっとも希少な1台となっている。
RS6/RS6アバント(2008年)
ランボルギーニ・ガヤルドの5.0L自然吸気V10をツインターボ化したエンジンを、アウディA6に搭載したモデルだ。
12年後に登場した新型RS6アバントと比べてもわずか20psしか違わない579psを与えられたこのクルマは、まさに狂気のモデルだった。
Q7 V12 TDI(2008年)
多くの点でもっとも狂気のクワトロと呼ぶべきモデルであり、単に巨大というだけでなく、これまで登場したなかでディーゼルV12エンジンを積んだ唯一のモデルであり、101.9kg-mというとてつもないトルクがその理由だ。
これほどのトルクがあれば、なんの苦もなくウッドストックにあるブレナム宮殿を牽引することが出来るだろう。
RS4アバント(2012年)
史上最高のオールラウンド性能を誇るクワトロを探しているのであれば、このクルマで決まりだ。
R8譲りの4.2L V8エンジンを搭載したモデルはこのクルマ以前にも存在しているが、先代よりもはるかにシャープで楽しめるドライビング性能を実現していた。
さらに、素晴らしいルックスと特筆すべき品質がこのクルマを完ぺきな存在にしている。
eトロンS(2020年)
クワトロも電動化の時代に突入している。
電子トルク制御によってかつてないほど四輪駆動の必要性が高まる一方、柔軟なメカニカルレイアウトが可能になったことで、これまでよりもはるかに簡単に四輪駆動を実現することが出来るようになっている。
40年に及ぶアウディの四輪駆動への情熱は、ふたたび新たな時代に相応しい存在になろうとしている。
番外編2:セカンドアルバムは難しい
11年にも渡る素晴らしい活躍を終え、初代クワトロが引退したのは1991年のことだった。
もちろんこれほどアウディのイメージを高めることに成功したクワトロには、当然ながら後継モデルが登場している。
あれほど成功したクワトロの名を使わないなど奇妙に思えたが、S2クーペは新たなルックスで若返りを果たすとともに、はるかにキャビン品質は改善され、1993年以降は6速マニュアルまで与えられていた。
にもかかわらず、このクルマはその人気という面では初代に近づくことすら出来なかった。
間違いなく速さは備えていたもののシャープさを失い、クルマ好きのためのモデルというよりも、まるでビジネスマンのための移動ツールのようだった。
ラリーやレースに出場することもなかったこのクルマは、実際初代とはまったく別のモデルだった。
販売期間はわずか4年に留まっており、後継モデルも登場していない。