【RFでも優れた本質は変わらない】マツダMX-5 RF 最終回 長期テスト
公開 : 2020.04.18 08:50
AUTOCARでもお気に入りのオープンスポーツ、マツダMX-5(ロードスター)。価格と車重はプラスでも、利便性を高めたリトラクタブル・ルーフを持つRFは、オープン並みの喜びがあるのか。長期テストは最終回です。
積算1万3746km ソフトトップ版との違いを総括
早いもので最終回となってしまった。どのように振り返ろう。リトラクタブル・ルーフに関しては最後にしようと初めは思った。
いわずもがな、マツダMX-5(ロードスター)RFは2シーターのスポーツカー。運動性能やドライビング体験などから始めるべきだろう。スポーツカーに興味を持つ人なら、大体気になる部分は変わらない。
ソフトトップのマツダMX-5(ロードスター)は、素晴らしく楽しいスポーツカーだ。マツダMX-5 RFは、そこへ折りたたみ式のハードトップとなる、リトラクタブル・ルーフが追加されている。
では、ハンドリングに違いはあるのか。研ぎ澄まされた前後重量配分への影響は。2000ポンド(27万円)の価格差に見合う価値は。基本的にはすべてルーフに関係する部分。結局、ルーフに触れざるを得ない。
初めてRFに乗り込んで、スイッチを押しながらルーフを開く体験。感動しない人はいないはず。15秒間の巧妙な機械じかけのアトラクション。動作が終わると、低いルーフでわずかに窮屈に感じていた車内は、青空いっぱいの開放的な空間へと切り替わる。
だがソフトトップの場合、手でほぼ真後ろへ下げるだけでオープンになる。2回目以降は、15秒という開閉時間が長く感じられるかもしれない。さらに慣れてくると、開閉の動作中、ずっとスイッチを指で抑えていることが面倒にも思えてくる。
ルーフの開閉ができるのは、停止中だけでなく10km/hまでの徐行時。ボタンを押し続ける作業は安全性では少しの意味があるが、ルーフが動いている間のナビの目的地設定などは、1人だと難しい。
RFのルーフを閉じた姿が筆者好み
英国の場合、天気が変わりやすいから、ルーフのオペレーションは気になる部分。結果的に、ルーフを閉じてファストバック・スタイルで走る時間の方が長くなってしまった。同僚には、ルーフを開いて走るべきだ、と指摘を受けていたけれど。
ルーフを閉じると、車内はタイト感が高まる。それに慣れてしまえば、高速域での風切り音や風圧によるバッファ音に悩まされることなく、スリリングなドライビング体験を楽しめる。
リトラクタブル・ルーフを閉じることが多かった理由のもう一つは、見た目。オープン状態よりカッコよく見えるし、筆者はソフトトップのMX-5(ロードスター)よりハンサムだと思っている。
RFのテールへと流れるリアピラーと滑らかなルーフラインは、ふくよかなボンネットとアグレッシブなフロントマスクを、引き立てている。
もちろん、スタイルは個人的な好みではある。ルーフを開くと、高速時にかなりの風切り音をリアピラーが立てる、という事実も理由の1つだ。
リトラクタブル・ルーフによって増加した45kgという車重は、ハンドリングや運動性能に大きな影響を与えるのか。答えは、大まかにいって、ノー。
確かに小さな差はあるものの、マツダの技術者は追加となる重量に対し、素晴らしい仕事で応えている。出発してから到着するまで満面の笑顔で、ソフトトップのMX-5(ロードスター)のように運転できる。