ロードテスト BMW 2シリーズ・グランクーペ  ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2020.04.18 11:50

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

2シリーズ・グランクーペを前にして、恨めしく思うことがあるとすれば、たったひとつ。BMWが後輪駆動プラットフォームでスモールカーを造り続けてくれればよかったのに。それがすべてだ。

ハンドリングの冴えるショートホイールベースの4ドアクーペで、フロントのドライブシャフトがなく、比較的軽量に収まっていたなら、それはかなり魅力的なものとなっただろう。

FFとしては良好なハンドリングだが、218iのパッシブダンパーは、本気で攻めるとコントロールの甘さを露呈する。
FFとしては良好なハンドリングだが、218iのパッシブダンパーは、本気で攻めるとコントロールの甘さを露呈する。    JOHN BRADSHAW

もっとも、かつてのFRレイアウトを採用していた1シリーズの走りは、期待されるほど甘美で楽しく、思いのままになるようなものではなかった。上位モデルにBMWの至宝ともいえるストレート6を縦置き搭載していたにもかかわらずだ。

とはいうものの、今回のテスト車が採った前輪駆動というアプローチは、性能的には不足がなくても、妙なる運動性が味わえるとはいい難い。またエンスージアストにしてみれば、その駆動系の退屈さを忘れさせてくれるような要素をほとんど見出すことができない点も不満だろう。

ただし、なにもかもダメかといわれれば、そういうわけでもない。

2シリーズ・グランクーペは最新世代の1シリーズと比べ、クルージング志向に振られたキャラクターで、乗り味は兄弟分のハッチバックよりややソフトな仕立てだ。

ところが今回のテスト車は、Mスポーツ仕様のスプリングにより足回りが締め上げられている。その結果、日々のドライビングで上々の操縦性を味わえるクルマに仕上がったのだ。

ロールは適切に抑えられ、意図した走行ラインを通すのもイージーだ。ステアリングは兄貴分の3シリーズほどレスポンスが鋭いわけではなく、手応えも軽いが、正確でリニア。フィードバックの増減もそこそこ感じ取れる。最高のドライビングポジションと組み合わせれば、B級道路を飛ばすのも十分に楽しめる。

ではあるが、本気でドライビングしようとすると問題が浮き彫りになる。M235iグランクーペにのみ設定されるアダプティブダンパーなら、そこそこ背の高いボディをよりよくコントロールするはず。だが、テスト車のパッシブダンパーは、コーナリングで十分に支えてくれない。

また、シャシーはフロント優勢のバランスを露呈する。垂直方向のボディコントロールも思いのほか緩めだ。結果として、BMWであれば上首尾に済むはずの場面で、快適な領域からはみ出してしまったように感じられるのである。

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