【みんなのスポーツカー】ホンダS800 フィアット・スポーツ MGミジェット 前編
公開 : 2020.04.19 07:50 更新 : 2020.12.08 11:05
イタリア流のドライビング・ポジション
低いフロント部分はエレガントなラインを描き、今回のトリオの中では最も際立つ美しさ。クリーンなボディは1968年以降、わずかに手が加えられてしまったが、ヘッドライトは大きくなり位置が見直されている。
同時にエンジンは52psを発生する903ccへと変更。シングルのツインチョーク・キャブレターと、オーバーヘッド・バルブを採用している。
ティム・ミルズの黄色いフィアット・スポーツ・スパイダーは1973年式。フィアットX1/9と並行して製造された、北米市場向けのシリーズIIIとなる。製造期間はモデル末期の数ヶ月と短い。
30年ほど前にレストアを受け、フロントブレーキはアップグレード。背もたれの高いX1/9用のシートと、124スパイダー用のアルミホイールを履いている。クルマは日常的に乗っているという。
だいぶ手の入ったスパイダーだが、3台の中でも特徴的なスタイリングは変わらない。運転姿勢はイタリア流で、ペダルレイアウトは狭く、助手席側へ大きく右にオフセットしている。
ウッドパネルの張られたダッシュボードは、フロントエンジンのモデルとは異なる洗練性を醸している。ステアリングホイールは膝に触れそうだ。
スポーツ・スパイダーのステアリングは、ホンダよりもシャープでクイック。切り込む途中の不自然な変化もなく、ロックトゥロックまで一貫した感触がある。ボール・ナット式で、ラック・アンド・ピニオンのような情報量はない。
ボディロールは最小限。フロントに重量物がないから、路面の起伏や隆起部分でわずかに跳ねる。
この続きは後編にて。