【画像からヒントを探る】アストン マーティン 新しいツインターボV6 ドライサンプ式エンジン
公開 : 2020.04.27 11:00
アストン マーティンが開発する新しいエンジンの詳細を探りました。ドライサンプにより優れた潤滑性能と低い重心を確保し、直噴とポート噴射の組み合わせにより、排出量を抑えつつ、長い航続距離を得ることが出来るそうです。
V6ドライサンプ方式エンジン
アストン マーティンの新しいホットV、「TM01」V6ドライサンプ方式エンジンは、ターボがV字型に並んでいることから、その名が付けられた。
同社は、詳細を明らかにしていないが、公開された画像から多くのヒントを得ることができる。
一番下に見えるサンプは、通常オイルを貯蔵するためのものだが、エンジンオイルで満たされた大きく深いサンプの代わりに、浅いものを採用することで、2つの利点をもたらしている。
利点の1つ目は、別のタンクからオイルがポンプでエンジン周りに送られるため、ハードなコーナーリング、ブレーキング、加速時にエア噛みの心配がない。
2つ目は、エンジンをシャシー内の低い位置に収めることで、クルマの重心を低く保つことができることだ。
左下に見えるドライサンプポンプは、標準のオイルポンプと違い、オイルを吸い上げるだけではなく、除去もするため、サンプは完全に乾燥した状態を維持することが出来る。
チェーンで駆動
エンジン前部にあるY字型のケースにカバーされ、クランクシャフトから4つのカムシャフトまでを駆動するのは、ベルトではなくチェーンのようだ。
Y字の上部にある、2つの黒い円形のカバーは、可変カムタイミングメカニズムの一部を形成し、各カムシャフトにポジションを与える。
その上には、ボルグワーナーの2つのターボのエアコンプレッサーがあり、それぞれの上に、黒い電子制御ユニットが、ロッドを介して、エンジンの後方に向かって、ターボの「ホットサイド」にある、ウェイストゲートバルブを開閉する。
上部にある2つの大きなポートは、ターボ・エアインテイクで、下の2つは圧縮空気の出口となっている。
ホースは、下部の2つのポートからインタークーラーを介して、それぞれのシリンダーバンクの下にあるサージタンクの、前面にある2つのスロットルボディに吸気を取り込む。
このプロトタイプでは、キャブレターの製造で有名なイタリアの部品メーカー、デロルトによって製造されている。
直噴とポート噴射
エンジンの右側にある3つの黒いブロックは、各点火プラグに1つずつ備えられたコイルパックだ。
この構成から、トヨタが先駆けて採用した、ポート噴射と直噴の両方の機能を使い分ける方式が、とられているように見える。
右側には、3つのポートインジェクターにガソリンを供給するための燃料パイプがあり、その上に黒い電気コネクターが見える。
さらに3つの直噴インジェクター・コネクタが、各コイルパックの真下にあり、噴霧化された燃料を直接、燃焼室に供給する。
直噴とポート噴射の組み合わせにより、さまざまな回転数と負荷でのエンジンのトルクを、ハイブリッド電気駆動装置とブレンドし、排出量を最小限に抑えつつ、より長い航続距離を得ることが出来る。