【将来的な復活は?】アウディTT 新旧乗り比べ 感じるのは知性 前編
公開 : 2020.04.21 10:50
いまも新鮮
登場から20年以上が経過し、いまや初代TTはもっとも影響を与えた自動車デザインのひとつとして多くの場で取り上げられている。
シュライヤーは2006年にキアのデザイン責任者に就任したというのに、いまも初代TTを所有し続けるだけでなく、定期的にそのステアリングを握っているという。
1998年に欧州販売が始まったTTだったが、ドイツ国内で複数発生した高速走行中の事故により空力安定性の不足が懸念されたことで、リアスポイラーとスタビリティーコントロール(ESC)が標準装備として追加されるまでの間、生産が中断されるという事態に見舞われている。
このESCは初期モデルにも後付けされることとなったが、スポイラーはそうではなく、今回登場したスポイラーレスの車両は、非常に希少な右ハンドル仕様のそうした1台だ。
だからこそ、アウディUKはこの車両を自らのヘリテージコレクションに加えるために最近買い戻したのだが、今回彼らはボディ修復に着手する前の車両を貸し出すことに同意してくれている。
ボディには21年間と20万6000kmという走行距離を物語るかのようなキズや錆が残されたままだが、それでも登場から20年以上の月日を経ても、このクルマの基本的なデザインは驚くほど新鮮な印象を与えてくれる。
別格の存在
改めて見てみるとTTのボディフォルムには依然として思わずハッとさせられ、その面と線に余分なものなど一切ない。
初代の横では、3代目となる最新のTTには力強さとともにより現代的な印象を感じるが、それでも依然として決して過剰なデザインとはなっていない。
初代TTのインテリアはいまも印象的だが、22年前の量産モデルとしてはまさに別格の存在だっただろう。
エアベントの周囲に配された金属製ロータリー式コントローラーの素晴らしい感触に変わりはなく(アウディでは新型A3まで繰り返しこのデザインを採用している)、マットなメタルとダークトリムの組み合わせはまるで2020年に創り出されたモデルのようだ。
記憶している以上にコンパクトなモデルだと感じる。フロントシートはピッタリと寄り添うようにレイアウトされており、リアシートはなんとかプラス2と呼べる程度でしかない。
一方、ターボらしい1.8Lエンジンのパワーデリバリーは記憶のとおりだ。
当初181psと225psのふたつのエンジンラインナップで登場した初代TTだが、のちに150psモデルも追加されている。
アウディUKがヘリテージコレクションに加えることにしたのは225psのモデルだが、このエンジンは洗練性よりも活気を感じさせる。