【軽トラック】知る人ぞ知る「農協仕様」が存在 装備、何が違う? サンバー vs キャリイの構図

公開 : 2020.04.19 05:50  更新 : 2020.05.17 20:23

なぜサンバーにJA仕様が設定された?

数ある軽トラックの中で、サンバーに初めてJA仕様が設定され、高い評価を受けて来た理由は何だろうか?

それは、第一に悪路走破性の高い本格的な4WDシステムを備えていたことが挙げられる。

かつてスズキ・キャリイにはセミキャブ(上)、フルキャブ(下)両方が用意されていた。
かつてスズキ・キャリイにはセミキャブ(上)、フルキャブ(下)両方が用意されていた。

また、サンバーは数々の独自機構を持っており、これらも農業や林業での現場において根強く支持されてきた。

・エンジンを後輪車軸後方に配置するRR方式を採用
・極上の乗り心地を発揮する4輪独立サスペンション
・軽、唯一の4気筒エンジン

1998年に軽自動車の軽自動車規格が変更となった際、他社の軽バン/軽トラックは軒並みセミキャブ化されたが、サンバーはその後もトラック・バンともにフルキャブの車体形状を維持してきた。

セミキャブとフルキャブでは積載スペースはほぼ変わらないが、ホイールベースが異なるため小回り性能に大きな差が出てくる。

農道や林道、田んぼのあぜ道など狭い場所での取り回しを考えると、直進安定性はやや劣っても、ホイールベースが短いフルキャブの方が使い勝手が良い。

しかし諸般の事情によりサンバーはスバル独自モデルの生産を2012年3月で終了。

翌月4月2日にはダイハツ・ハイゼットのOEMとして発売され、2014年にフルモデルチェンジを受け現行モデルとなった。

生産終了の前には、全国で存続を願う署名嘆願活動が行われたが、願いはかなわなかった。

キャリイにも「農繁」 一般購入も可

サンバーのライバル、スズキ・キャリイにも「農繁」シリーズと呼ばれる営農向きの軽トラがある。1990年発売の9代目キャリイに初めて設定された。

農繁キャリイも営農装備としては、JAサンバーとほぼ同じだ。

スズキ・キャリイ「農繁」シリーズ。荷台後部左に「農繁」の文字。
スズキ・キャリイ「農繁」シリーズ。荷台後部左に「農繁」の文字。

・4枚リーフスプリング
・アングルポストプロテクター
・リアゲートチェーン
・荷台作業灯
など作業に便利な装備のほか、各地のJAごとにフロアマットやドアバイザー、ツールロッカーなどの快適アイテムを備えた「JAパッケージ」などもある。

なお、車両販売価格については、JAサンバーも農繁キャリイも、各種装備をそれぞれオプションで取り付けた場合よりもかなりお買い得な価格になっている。

悪路走破性が高く、重量物の運搬や野外での作業に非常に心強いこれらのJA仕様軽トラはいずれも新車で100万円前後。

そして、JAサンバーも、キャリイ農繁スペシャル「JAパッケージ」も購入者の制限はない。

長野や愛媛、佐賀などのJAやオートパル(JAが展開する自動車販売部門)の店舗にも聞いたところ、「JAを通じて注文いただければ、一般の方も購入はできます」とのことだった。

近年は、使い勝手の良さと耐久性においてトラック王国アメリカでも高い人気を誇る日本の軽トラ。

ビジネスにアウトドアレジャーに、ヘビーユースにも心強いJA仕様の軽トラが存在した。

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