【手が届かない】なぜ最近のスポーツカーが高くなったのか? 背景に装備拡充/増税 根本問題も

公開 : 2020.04.20 05:50  更新 : 2021.10.22 10:17

過去10〜15年で1.2〜1.4倍の価格上昇

ロードスターとフェアレディZの価格推移を見ると、先代型から現行型になって大幅に高まった。

ロードスターは、先代型が2005年に発売された時の主要価格帯は220〜250万円だが、現在は260〜333万円だ。

マツダロードスター。初代(左)と現行型(右)
マツダロードスター。初代(左)と現行型(右)

フェアレディZも、先代型が2002年に発売された時は330〜360万円だったが、今は480〜520万円に達する。

先代型に比べると約150万円値上げされた。

さらに日産GT-Rは、2007年に発売された時の価格は777万円であったが、今は最も安価なピュアエディションでも1082万8400円だ。

改良を繰り返しながら、300万円以上値上げされた。

以上の価格推移を見ると、2000年代以降の値上げ率が大きい。比率に換算すると、スポーツカーの価格は過去10〜15年の間に1.2〜1.4倍に高まった。

その背景には複数の理由がある。

スポーツカーの値上げ 最大の理由は

各種の機能や装備が充実

スポーツカーが値上げされた一番の理由は、安全面を中心に各種の機能や装備が充実したことだ。

ロードスターRSの場合、先代型が発売された時は、サイドエアバッグや横滑り防止装置がオプション設定だったが、新型はこれらを標準装着した。

マツダ・ロードスターRF(2017年型)
マツダ・ロードスターRF(2017年型)

さらに歩行者も検知できる衝突被害軽減ブレーキ、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを検知して知らせるブラインドスポットモニタリング、左右各12ブロックのLEDを自動的に点消灯して、ハイビームを保ちながら相手車両の眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライトなども標準装着した。

快適装備では、さまざまな情報を表示できて、SDカード(4万9500円)をセットすればカーナビ画面としても使える7インチWVGAセンターディスプレイ、アルカンターラ&ナッパレザーのシート表皮などが備わる。

フェアレディZも、カーナビを標準装着するなど装備を充実させた。このほか各車種ともに排出ガスのクリーン化など環境技術を採用しており、これらのコストも価格を押し上げた。

消費増税の影響も

消費増税の影響も大きい。1989年に実施された時の税率は3%だが、1997年に5%、2014年に8%、2019年には10%まで高まった。

税額の表示方法も変化している。

当初の価格表示は、消費税を含まない本体のみだったが、2004年4月以降は消費税を含む総額表示方式に変更された。

例えばフェアレディZの場合、2002年に先代型が登場した時の表示には、消費税が含まれていない。現在は10%を含むから、価格の受け取り方も異なる。

先代フェアレディZバージョンSの価格は税抜表示で330万円だったが、これに現在の消費税/10%を加えたと仮定すれば363万円になる。

今日のバージョンSは484万8800円だからさらに高価だが、消費税の影響も小さくない。

もう1つ、根本的な問題がある。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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