【なぜ後継の予定なし?】ロータリー復活かけたマツダRX-8 ライバルはBMW 3シリーズだった!?
公開 : 2020.04.22 05:50
開発の現場に遭遇 比較車両はBMW
発売までは、さらに丸2年を要した。
当時、自動車メディアの多くは、2001年デトロイトショーデビューの後、同年の東京モーターショーで「ほぼ量産モデル」が出展されて、2002年の春過ぎには北米での2003イヤーモデルを念頭に日本でも発売が始まるのでは、と予測していた。
そうした中、RX-8開発チームのテストに偶然、居合わせたことがあった。
場所は、ロサンゼルス郊外にあるウイロースプリングスレースウェイ。筆者は、北米日産本部からインフィニティG35(スカイライン)クーペを借り出し、同レースウェイのショートコースで自動車雑誌用の撮影をしていた。
すると、同レースウェイのロングコースに、カモフラージュしたRX-8がいた。こちらの素性を明かした上で、当面記事化をしないことを約束して、RX-8についての意見交換をした。
そこには比較車両もあったが、それはBMW 3シリーズだった。マツダ関係者は「(このクルマを)ベンチマークに使っている」と教えてくれた。
もう時効(?)だと思うので紹介するが、その際、マツダのテストドライバーにG35クーペに乗ってもらった。
なぜならば、インフィニティG35のライバル車がBMW3シリーズだったからだ。
その際、「(同じBMW 3シリーズを意識しているクルマだが)われわれが目指す方向性とは大きく違う」という言葉を残した。
RX-8は1代限り? RX-9に期待
その後、無事にRX-8量産モデルが完成。
世界各国からのメディアを集めた試乗会が、北カリフォルニアのラグナセカレースウェイで開催された。
例によって、マツダの試乗会は技術の深堀りが徹底されていて、車体、エンジン、サスペンション、デザインなど各分野でのレクチャーが続いた。
そうしたなかで、いまでも印象に残っているのは、パドックエリアにパイロンを置いておこなったジムカーナだった。
軽量かつ柔軟に動くサスペンションで、「誰もが、扱いやすいクルマ」と感じた。
とはいえ、9000rpmまで吹き上がるロータリーサウンドを味わいながら、マツダ開発陣の「飽くなき挑戦」に心を打たれた。
あれから17年が経ち、マツダは創立100周年を迎えた。
マツダ百年史の第1弾として、マツダ本社から謹呈された「エピソード編」の中には、エピソードナンバー71に「ロータリーの命をつないだ隠密作戦~継ぎ接ぎだらけの試作車」がある。
これが、RX-8誕生の舞台裏だ。
エピソードナンバー76には「時代を超えて受け継がれる技術者魂~RENESISの開発」がある。
こうした史実と、筆者自身のRX-8との体験、そして近年のマツダの動向を鑑みると……。
RX-8は1代限り、だと思う。
RX-8で培った、マツダのクルマ作り精神が、多くの人が待ち望んでいる仮称RX-9(マツダスーパースポーツ)実現に結び付くことを願う。