【なぜ?】フォード・マスタング、同じスポーツクーペのフェアレディZより人気が長続きするワケ
公開 : 2020.04.25 05:50 更新 : 2020.04.26 00:32
フォード・マスタングの人気は根強く、販売も順調です。現行モデルは2019年単年で世界で最も数多く売れたスポーツカーに。日本では、フェアレディZが同じ車名で生き続けています。両車の違いを見つめてみます。
マスタングの人気、世界一 一方Zは
「マスタング」の人気は根強く、販売も順調だ。
現行モデルである第6世代は、2015年登場から2019年12月までの累計販売台数が、世界146か国で63万3000台に達した(フォード本社調べ)。
2019年単年でも、10万2090台となり、世界で最も数多く売れたスポーツカーとなった。また、スポーツクーペとしてのカテゴリーでは5年連続での世界ナンバーワンである。
では、日本車の場合はどうだろうか?
スポーツカーで最も長く、同じ車名で生き続けているのは、日産「フェアレディZ」だ。ジャパニーズスポーツカーの代名詞である。
現時点で世界全体での販売台数集計をまとめることができなかったが、世界で最も多く売れているアメリカの数字を見る。
モデル名「370Z」として2019年単年で、前年比31.3%減と大幅に落ちて2384台だった。日本国内での販売は、単月では100台に届かない月も多い。
現行モデルはマスタングと同じく第6世代だが、車齢はマスタングの5年に対して、フェアレディZは12年と倍以上も長い。
近年中のビックマイナーチェンジが噂されているが、プラットフォームやパワートレインなど刷新するフルモデルチェンジに関する情報もない……。フェアレディZの未来が見えない。
一方のマスタングは、モデル中期から末期になっても意気揚々。
マスタングの強みとはいったいどこにあるのだろうか?
マスタング、もとはエコカーだった?
マスタングの歴史を紐解くと、マスタングの強みがはっきりとわかる。
そもそも、マスタングはエコカーだった、といえるかもしれない。
1964年登場の初代は、ポニーカーと呼ばれるカテゴリー。ポニーとは、小型の馬である。つまり、マスタングは当時としてはコンパクトカーの一種だった。
50~60年代初頭のアメリカは、戦後の高度経済成長を謳歌し、クルマのボディサイズは大型化が進んだ。見た目が大きくて立派、エンジンの排気量が大きくてパワフル、インテリアは調度品のようなゴージャスさ。
世界のなかで、アメ車は特異な進化を遂げていた。
そうしたなかで、価格を抑えて、若者にも手が届くクルマを、フォードが企画した。
欧州車のような大衆性とは別の方向性として、スポーティさを強調し、ボディスタイルは2ドアクーペとした。
搭載したエンジンは、2.8L直列6気筒。当時としては小さめのエンジンであり、相対的にはエコなクルマだった。
そんなベース車を、いわゆるマッスルカーとして、外部チューナーのシェルビーがSCCAトランザムシリーズなどに向けて、レーシングカーとして仕立てた。
こうした初代の遍歴が、現行モデルに受け継がれている。
ただし、その間の道のりはとても険しかった……。