【写真で振り返る】印象的なクルマのカラーリング ガルフ、マルティニ、レナウン、555
公開 : 2020.05.02 08:50 更新 : 2020.05.02 14:42
ランチア・デルタのマルティニ・カラー
マルティニの赤と紺と水色のストライプをまとったクルマは枚挙にいとまがないが、世界ラリー選手権を戦ったランチア・デルタほど強く印象に残るクルマは少ないだろう。悪名高いグループBの時代から、その後に続くグループAにわたり、デルタの角張ったスタイリングはスポンサー・カラーを施すのに最適だった。
初めてマルティニ・カラーでラリーに出場したクルマはデルタではない。1978年のポルシェが先だ。しかし、イタリアのブランドあるランチアは、同国からグローバルな展開に向けた宣伝を求めていたマルティニと契約を結ぶ。両者が最初にタッグを組んだ037に続き、デルタは数世代にわたり大きな成功を収めた。その活躍は、ディディエ・オリオール、ユハ・カンクネン、マルク・アレンなどの名前と共に記憶されていることだろう。
ランチア・ストラトスのアリタリア・カラー
ランチア・ストラトスがラリーにデビューした時、アリタリア・カラーはこのクルマと完璧にマッチしていた。イタリアで最高のラリー・チームと同国の航空会社の組み合わせだったのだから、それも当然と言えるだろう。しかし、実はこのカラーリングをデザインしたのは、ドイツ人のウォルター・ランドー(1913-1995)だった。ランドーは1967年からアリタリアのコーポレート・アイデンティティを手掛けていた。
白をベースに緑と赤を組み合わせたこのカラーリングは、ストラトスのウェッジ・シェイプに施されるとすぐに強い効果を発揮した。異なる型式の航空機にも容易に適用できるようにという要求に応えたランドーのデザインを、ストラトスのボディに施すことは簡単だった。そしてそれは、世界中を転戦するラリーにおいてランチアの成功を印象づけることにも貢献した。
ロータスのJPSカラー
初期のブリティッシュ・レーシング・グリーンにイエローのストライプから、1960年代後期のゴールドリーフ・カラーなど、ロータスのレースカーに施されたカラーリングは印象深いものが多い。だが、中でも傑出しているのが、1972年から1978年までロータスのF1マシンがまとっていたジョン・プレイヤー・スペシャルの黒と金だろう。
タバコ会社の資金がF1グランプリ界に大量に流れ込んでいた時代、ロータスはファンに強烈にアピールするまったく新しいレベルの宣伝を展開した。同社の所有する飛行機まで黒と金で塗られ、F1マシンと同じチーム・カラーが施されたロードカーのエスプリさえ販売されていたのだ。このことは、ロータスを率いるコリン・チャップマンが、いかに先見の明を持っていたかを示している。チャップマンはこの時、モータースポーツにおいて優れたカラーリングが人々に強い印象を与え、効果的なブランディングになるということを理解していた。