現行モデルでは価格が倍近くに

さて最後は現行のトロフィーRだ。こちらもテーマは変わらず、徹底的な軽量化により通常のメガーヌRSよりも130kg軽くなっている。ステアリングはよりクイックかつ正確になるとともに、ボディ剛性の強化によるシャシー性能の向上も大きい。クルマの実寸はより大きく重くなったにもかかわらず、275トロフィーRよりもワイドに感じることはない。

このアジリティやシャシーパフォーマンス、それに四輪に装着されるオーリンズ製調整式ダンパーのおかげもあり、ニュルでのラップタイムはさらに短縮され、7分41秒となった。割合で見たらそれほど大きくないかもしれないが、1周で30秒の差と言えば見過ごすことはできないだろう。

このクルマも標準仕様からのパワーアップはなく300psを維持し、2シーターでチタン製エグゾーストに6速MTとLSDという組み合わせだ。130kgの軽量化のうち40kg程度は、後輪操舵を廃したことによるものだ。この機能は旋回中の挙動を若干わかりにくくしていたように感じられ、結果的にステアリングへの入力が素直に反映されるようになった。

この3台はいずれも同じ設計思想が引き継がれているが、重要な違いはその価格帯だろう。現行型は車両本体のみで5万1000ポンド（678万円）、カーボンブレーキやカーボンホイールが含まれたニュルブルクリンク・エディションを選ぶと7万1000ポンド（944万円）まで膨れ上がる。ホットハッチとしては非常に高価だが、細部を見れば十分に納得できる仕上がりとなっている。

とは言え標準でも2倍、ニュル仕様なら3倍にもなる価格と、そのパフォーマンスを見ると、R26Rが最良のようにも感じられる。現行のトロフィーRは非常に好みであり、FFとしては最高の素晴らしいドライバーズカーだ。勝者を決めるなら、最速の現行型かもしれないが、わたしの気持ちとしてはR26Rを選びたい。

詳細は動画にてお楽しみいただける。

画像　ニュルの血統　メガーヌ・トロフィーR　3世代比較　全92枚