【意外なライバルに?】新型シボレー・コルベット(C8) 日産R32/R33/R34 GT-R中古車の影がちらつく
公開 : 2020.04.29 05:50 更新 : 2020.06.08 09:22
GT-Rどころかスカイライン知らず
アメリカにGT-Rが上陸したのは、日本に1年遅れて2008年に導入されたR35が最初だ。
それ以前のR34、R33、R32、さらにケンメリ、ハコスカのGT-Rはアメリカでは正規輸入されていない。
それどころか、アメリカ人は「スカイライン」を知らない。
スカイラインが北米ラインナップになかったため、R35導入に連動しレーシングフィールドでのGT-Rの歴史を紹介しても、アメリカ人にはピンと来ない。
耐久レースなどでの輝かしい歴史を誇るコルベットのようなイメージを、GT-Rに対して抱きにくい環境にある。
アメリカ人がスカイラインに接したのは、インフィニティ「G35」が最初だ。
皮肉なことに、日本では不人気だったV35スカイラインが、アメリカでは大人気となった。
インフィニティG35にクーペが登場し、さらにG37へと進化したことが、GT-Rのアメリカへの呼び水となったといえる。
2007年頃から、日産はアメリカ人ジャーナリストを日本に招聘し、GT-Rの歴史を改めて理解してもらった上で、テストコースで思い切った試乗の機会を提供した。
その体験記が、ロングリードと呼ばれる自動車雑誌大手や、当時まだ黎明期にあった自動車向けウェブサイトを通じてアメリカのクルマ好きと富裕層に拡散していった。
別の視点もある。近年になりGT-Rに関する別の動きがあり、これがコルベットに影響を与えるかもしれない……。
25年ルール 旧GT-RがC8対抗に?
GT-Rに関する別の動き。それは、「25年ルール」だ。
自動車メディアではこれまで数多く取り上げられている、アメリカとカナダでのアンティークカーに対する輸入緩和制度だ。
正式名は、連邦法「輸入車セイフティコンプライアンス法」という。アメリカでは、製造から25年経って、一度も正規輸入されなかったモデルに対して、衝突安全性と環境対応(排ガス規制)に対する試験が免除される。州によっても対応に差がある。
これによって、R32とR33のGT-Rが日本からアメリカに大量に輸出された。
買い手は、30代~40代の男性。20年ほど前、映画「ワイルドスピード(邦題)」で描かれたアメリカでのジャパニーズチューニングに魅了された彼らがいま、当時の夢を買っているのだ。
R32、R33 GT-Rのアメリカでの価格は、程度によって差があり、また業者の中間マージンによっても差がある。メンテナンスコストもかかる。
そうなると、価格的にはC8コルベットのベース車と同格になる。C8にとっては、想定外のライバル出現だ。
この他、三菱GTO(3000GT)や、今後はR34もC8にとって手ごわいライバルになるかもしれない。
今後のアメリカのスポーツカー市場、新旧入り乱れ、面白い展開になりそうだ。