アストンマーティンDBS 5.9 V12 カーボン・エディション
公開 : 2012.01.04 14:08 更新 : 2017.05.29 18:21
どんなクルマ?
アストンマーティンDBSカーボンエディションは、アストンのとてつもなく高価なスペシャルエディションである。このスペシャルエディションは2009年に販売が開始されたモデルで、現在は2つのカラーリングを選ぶことができる。そのひとつは、フレームオレンジ、そしてもうひとつがセラミックグレーだ。また、ダイヤモンドに輝くリムを持つ10スポークタイプのつや消しの黒いホイールが装着される。
カーボンエディションは、その名のとおりカーボンファイバーを多用しているのが大きな特徴だ。ウイングミラーやリアライトクラスターまでもがカーボンで造作されているし、センターコンソールにある6速のタッチトロニックギアボックスのパドルもカーボンで作られている。
ガーミンのナビゲーションシステムは、綺麗にダッシュボードの下に配置されていて、それらが本革のヘッドライナーに巧くセットされている。
特別なバッジがつけられたサイドシルや、ニューデザインのワイパーなどもカーボンエディションの特徴ではあるものの、そのフードの下におさめられる510bhpを発揮するV12エンジンはそのまま受け継がれている。
どんな感じ?
あなたがカーボンファイバーの織り目に魅了されない限りは、カーボンエディションはスタンダードなDBSよりも魅力的に映らないかもしれない。しかし、フレームオレンジのカラーリングは魅力的だし、贅沢なヘッドライニングも素晴らしい感触を持っている。交差点の信号で止まった時に、自分自身がはまっていると感じられるのであれば、このモデルのプレミアム性は確保されたも同然だ。
フレームオレンジにペイントされたDBSカーボンエディションは、実に魅力的なクルマだ。もし、マッシブな力強さや威風堂々たる姿が、アストンの最大のセールスポイントであるのであれば、DBSは間違いなくその伝統を引き継ぐ一流のフラッグシップGTであることに間違いないだろう。お涙頂戴もののその美貌と、驚くべき従順な乗り心地、ヘビィウエイトであることを感じさせない気持ち好いドライビングテイスト。それは扱いや易さを失ってはおらず、決してドライバーをドキドキさせるものではない。テストした日は、生憎の雨で、ハーフストロットル・デイとでも呼びたくなく状況だったが、そのパフォーマンスはうっとりとさせるぐらいのものであった。4500rpmまでの12シリンダーの静かな従順さは印象的であったし、僅か2000rpmでの唸るようなサウンドも素晴らしいのもであった。
「買い」か?
アストンマーティンDBSカーボンエディションは6000ポンド(72万円)もスタンダードモデルに対して高価なプライスタグが付けられている。それは多くの人が高いと感じるものであろう。しかし、アストンマーティンDBSはスタンダードモデルであっても180000ポンド(2160万円)もするのである。
残念ながら、そのトリムレベルはユーザーを納得させるだけのものはもっていないかもしれない。スペシャルエディションであるということに信憑性を持たせるためには、カーボンエディションはもっと着飾らなくてはならなかったのではと思う。劇的な何かしらの変更が必要だったかもしれない。とは言え、カーボンエディションは、裕福な層をDBSのコクピットに呼び込むだけの、魅力的で説得力のあるモデルなのかもしれない。
(ニック・カケット)
アストンマーティンDBSカーボンエディション
価格 | 186,582ポンド(22,389,800円) |
最高速度 | 306km/h |
0-100km/h加速 | 4.3秒 |
燃費 | 7.4km/l |
Co2排出量 | 388g/km |
乾燥重量 | 1,695kg |
エンジン | V12気筒5935ccガソリン |
最高出力 | 510bhp |
最大トルク | 58.1kg-m |
ギアボックス | 6速タッチトロニック |