【1928年開始の徹底試乗テスト】ヴォグゾール・グランドランドX 70km/L超は限定的
公開 : 2020.05.03 08:50
操舵/快適性 ★★★★★★☆☆☆☆
シャシーとサスペンションの協調ぶりは、不満のないものだといえる。重たいハイブリッドパワートレインと四輪駆動レイアウトを備えることを考慮すれば、上々だろう。
このクルマの重量は、運転のおもしろみを大きく削ぐ要素にはなっていない。それよりも、ドライブトレインの複雑さが楽しさをスポイルしていることの方がやや気になる。
そうはいっても、ハンドリングの正確さやボディコントロール、全般的な運動性といった点で、期待値に対して満足にはほど遠い。このもっとも曖昧なジャンルにおいてさえ、ドライバーズカーだと納得させるものにはなっていないのだ。
軽くて中庸なペースのステアリングは、少なくともこのクルマのウエイトをカバーしている。また、予期せぬときに手元へ衝撃を与える前輪の駆動力の影響も遮断してくれる。
スプリングはほどほどの硬さに感じられ、乗り心地は十分に快適。ただし、市街地ではやや硬く、高速道路ではノイズとソワソワした動きがよけいに気になる。とはいえ、どちらもそれほど不快なものではない。
横方向のボディコントロールは、カントリーロードでペースを上げても適切。だが、大きく弧を描く高速コーナーやタイトなカーブでは重心の高さやホイールベースの外にかなりの重量がかかっていることをはっきりと気づかせる。
ロールは唐突で、危険を感じるまでではないが、やや驚くほど外輪側へ傾く。アペックスからの脱出で加速を試みると、杖をつくかのようにトラクションコントロールが支えに入る。
そうした性質は、ハイブリッド化による重量やペースのアップへの対応がもっとされるべきだったことを明らかにしている。そして、それらのうちのひとつでも身を持って味わってしまったら、思い切り飛ばしてやろうという気が起きることはなくなるだろう。