【M8としての正解】BMW M8コンペティションへ試乗 624psのスーパーGT

公開 : 2020.05.02 10:20

新しい8シリーズへ加わった、BMW M8コンペティション。BMWとしては最速となる量産モデルですが、ライバルと比較した時に強く輝く特徴が薄い、とする英国編集部。英国の一般道で評価しました。

BMW M8の中での正解

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国の道を初めて走らせた筆者は、このM8コンペティションこそ、正解のM8だと感じた。4ドアの8シリーズ・グランクーペと比べれば、ひと回り小さく軽量。コンバーチブルよりボディもしっかりしている。

大きなクーペは、ドアが2枚多いBMW M5と多くの点を共有する。搭載するエンジンは624psを発生させる4.4LのV8ツインターボで、四輪駆動。後輪駆動として走ることもできる。良い設定だ。

BMW M8コンペティション・クーペ(英国仕様)
BMW M8コンペティション・クーペ(英国仕様)

BMW製の大型モデルで共通するプラットフォームは、5シリーズと7シリーズ、8シリーズを支える。M8クーペは、M5よりホイールベースが短い。車高は10mm低く、1885kgという車重を支えるため、サスペンションは引き締められている。

リアトレッドは38mm広く、サブフレームはボディシェルへしっかり固定されている。ボディ剛性はかなり高い。スーパーGTと呼ぶに相応しい内容だといえる。しかも、過去最速のBMWであるという事実に違わない、価格が付く。

ライバルの数は少なくない。ポルシェ911ベントレー・コンチネンタルGT、メルセデスAMG GTアウディR8マクラーレンGTとも対峙することになる。

シートレイアウトは2+2。つまり1台で多くをこなせる。週末はサーキットへ行くことも含めて、日常的に楽しめるよう設計されたクルマだ。英国以外では、コンペティション仕様ではない、マイルドなM8も購入できる。

圧倒されるような走行性能

0-100km/h加速は3.2秒。最高速度は305km/h。オプションでカーボン・セラミックブレーキも選べる。

M8のインテリアは、徹底的に作り込まれている。とてもプレミアムで居心地が良い。

BMW M8コンペティション・クーペ(英国仕様)
BMW M8コンペティション・クーペ(英国仕様)

ドライビングモードの設定項目は多すぎて、少し困ってしまうかもしれない。BMWとメルセデスAMGとで、車内で悩ましい思いをさせるのはどちらか競っているのでは、と疑うほど。

ボタン類で賑やかなステアリングホイールには、好みのドライビングモードを設定できる、赤いMボタンが2つ付いている。少し親しみやすい。

恐らく数週間ほど走り込めば、好みのドライビングモードが見えてくる。1つは基本設定を、もう一つは高速走行設定を、任意に選んで登録できるようになるはず。

大柄なボディを持つM8だが、スーパーGTと呼ばれるようなモデルの中では、より走りの印象が強い。最高出力は625ps/6000rpmだが、1800rpmから5800rpmにかけて、76.3kg-mという太い最大トルクを一定に供給してくれる。

テストコースでは、圧倒されるような走行性能を楽しめた。0-100km/h加速の数字ほど、凄まじい獰猛さは感じられなかったが、柔らかく増強させていくようなパフォーマンスの振る舞いがあるためだろう。

グリップ力は秀抜。テールスライドが始まっても、そこから簡単にまっすぐ加速させていく四輪駆動らしい安定性も備えている。後輪駆動モードにすれば、短時間でリアタイヤを駄目にするだけの自由度も残されている。

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