【勝利のカギはバランスにあり?】スーパーミニEV対決 プジョーe-208 vs ミニ・エレクトリック vs ルノー・ゾエ 前編

公開 : 2020.05.29 21:00

街中で扱いやすく 物足りない質感

そして、トランク容量でトップに立つのが、e-208を27L上回る338Lを達成しているゾエであり、後席でもミニ以上のレッグルームを確保している。

それでも、フロア下に搭載したバッテリーによって座面が押し上げられたことで、ゾエも後席ヘッドルームがそのしわ寄せを受けている。

プジョーの低く構えたステアリングホイールによって、メーターが見にくいと言うドライバーもいるだろう。
プジョーの低く構えたステアリングホイールによって、メーターが見にくいと言うドライバーもいるだろう。

ゾエではこのフロア下バッテリーの影響が前席にも及ぶが、必然的に高く設定されたアイポイントのお陰で、街中でもっとも扱いやすいのはこのクルマだった。

以前よりは品質が向上したとは言え、新たに導入されたリサイクル繊維と改良されたTFTスクリーンとともに、このクルマのキャビンでは依然として大量のハードプラスティックが目につく。

前席、後席ともにこの3台でもっとも居心地が良いと言えるのがプジョーであり(3台のなかでは圧倒的にファミリー向きのモデルだろう)、その大胆なダッシュボードデザインも魅力的だ。

特にその小径ステアリングの上から見下ろすような、立体表示を行うメーターナセルは素晴らしいアイデアであり(ロードテスターのなかにはこの意見に反対のものもいた)、クラス標準以下の質感だと感じる樹脂パーツが散見されるものの、e-208のキャビン全体には高級感と高い洗練を感じることが出来る。

それはこのクルマの走りにも通じており、EVのメリットを活かした、スムースで洗練されたドライビングを実現することにもっとも成功していたのがこのプジョーだった。

乗り心地に大きな差 ノイズが気になる

今回のテストコースには市街地と高速道路、さらには曲がりくねったB級路が含まれていたが、そのすべてでe-208は他のライバルよりも落ち着いた走りを披露している。

比較的ソフトなサスペンションが路面不整に上手く対応するとともに、滑らかな乗り心地を実現しており、例え大きな衝撃が加わっても、このクルマのスプリングとダンパーが見事に吸収してみせる。

ミニのキャビンには圧倒的な高級感と見事な組立品質を感じることが出来る。
ミニのキャビンには圧倒的な高級感と見事な組立品質を感じることが出来る。

乗り心地という点で、プジョーはミニとルノーの2台に大きく差を付けていると言えるだろう。

ミニもしなやかさには欠けるものの、プジョーと同じような落ち着きを感じさせるが、このクルマの場合、その過剰なほど締め上げた足回りが際立っていた。

ゾエの足回りはミニほど固められているわけではないものの、その乗り心地は落ち着きに欠け、荒れた路面ではボディを通して振動が伝わって来る。

さらに、このクルマの乗り心地は騒々しくもあり、他の2台であれば何事もなく通過するような路面でさえ、ゾエのサスペンションはバタバタとした様子を見せる。

さらに、ミニとプジョーを上回るウインドノイズとロードノイズが耳につくゾエは、3台のなかでもっとも長距離ドライブには適していないモデルと言えるだろう。

そして、このルノーが発生するノイズはこれだけではない。

低速ではまるでSF映画のような奇妙なヒューというサウンドを発生させることで、このクルマは道行くひとびとの注意を促すのだ。

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