【見通せる確かな仕上がり】BMW 4シリーズ・プロトタイプ ドイツで試乗 前編
公開 : 2020.05.04 10:20
ミュンヘンから生まれる最新のクーペ、BMW 4シリーズのプロトタイプに試乗する機会を得た英国編集部。拡張された動的性能と高速域での洗練性が、強く印象に残ったようです。ドイツの一般道で試乗しました。
あらゆる側面でスポーティさを向上
BMWでドライビング・ダイナミクスの責任者を務めるジョス・ファン・アス。新しい4シリーズ・クーペを説明する時、ステアリングホイールを握るような仕草をしながら、熱い気持ちを顕にした。
「以前のモデルと比較して、あらゆる側面でスポーティさを高めています。しかも、全体的な快適性も向上させています」 と話すジョス。
筆者は2種類のプロトタイプで、ドイツのアウトバーンを280km/h以上の速度域で運転する機会をいただいた。とても滑らかな舗装が施された、一般道も。
1台目の試乗を終え、乗り換えるために、路肩へ4シリーズ・プロトタイプを寄せる。新しい4シリーズの開発責任者から、最も明確な訴求力はどこにあるのか、直接聞きたいと感じた。
四輪駆動のM440i xドライブから、少し穏やかな後輪駆動の430iへ座り直しながら、会話を続ける。彼は可変式電動パワーステアリングが、最大の貢献的技術だと考えているようだ。
「従来以上にダイレクトでレスポンシブなクルマにするべく、注力してきました。鮮明性も、リニア感も高めています。ボディ構造も、従来以上に強固になっています。4ドア以上に高い基準を与えました」
新しいBMW製の2ドアクーペで、多くの時間を費やしてきたジョス。仕上がりに対するプライドは高い。
8シリーズに通じるボディライン
新しい4シリーズ・クーペのコードネームはG30。先代モデル以上にスポーティな内容を目指すだけでなく、快適性も引き上げている。ベースとする3シリーズとは、異る特性を狙っている点にも注目だ。
3シリーズとの違いは、スタイリングを見ても明らか。プロトタイプとして軽くない偽装をまとっていたが、これまでの4シリーズ以上に滑らかなボディラインを観察できる。兄弟モデルのサルーンとは明らかに違う。
偽装が解かれるまでは、2019年9月のフランクフルト・モーターショーで姿を見せた、コンセプト4シリーズ・クーペの姿と重ね合わせるしかない。論争となるフロントグリルについては、ここでは書かないでおこう。
少なくともプロポーションは、従来以上にシャープ。緩く傾斜するボンネットは長く、強く寝かされたルーフラインが、比較的高い位置のテール周りへとつながる。
デザインのライン構成や美的要素は、ふた回り大きい8シリーズ・クーペに通じる。ジョスによれば、空気抵抗値を小さくし、ダウンフォースを大きくするためのデザインでもあるという。
前後のホイールアーチも大きい。最大で20インチまでのホイールに対応するためだ。
ボディサイズはさほど大きいわけではないが、近づいてみるとボリューム感はある。骨格をなすのは、CLAR、クラスター・アーキテクチャーと呼ばれるもので、最近の縦置きエンジンのBMWに共通するプラットフォームだ。