【車名を言える?】フォルクスワーゲン・ミュージアム 21台の「忘れられたクルマ」たち

公開 : 2020.05.07 11:50

1961年 タイプ3カブリオレ

タイプ3は1961年、ビートルの上級モデルとして発売された。だからそのコンバーチブル仕様が計画されたというのは理に適っている。

フォルクスワーゲンは主に米国市場を狙って、エレガントなタイプ3カブリオレのプロトタイプを製作した。しかし、このプロジェクトは結局、破棄されることになる。同じ会社のカルマン・ギアと競合することが懸念されたためだ。

タイプ3カブリオレ
タイプ3カブリオレ

1963年 EA128(1)

今回ご紹介しているコレクションの中でも、EA128は最も魅力的な1台だろう。高級市場を狙うフォルクスワーゲンが、ポルシェとの共同開発を模索して1963年に製作した4ドアのファミリーカーである。

車体後部に搭載されたエンジンは、911の2.0リッター空冷水平対向6気筒のデチューン版。最高出力90psを発生し、最高速度は160km/hに達した。もし市販されていれば、アウトバーンの追い越し車線を走り続けることができる初めてのフォルクスワーゲン車になるはずだった。

EA128
EA128

1963年 EA128(2)

リアのサスペンションは、ポルシェ911と共通だ。米国で販売されたら、シボレー・コルヴェアの直接的な競合車になっただろう。市販されずプロトタイプに留まった理由は、”国民車” ブランドとして知られるフォルクスワーゲンの高級車に対し、消費者がどのように反応するか、フォルクスワーゲンの経営陣が心配したからだと言われている。同社は1990年代後半にフェートンの発売を決断するまで、このジレンマを解決できなかった。

EA128
EA128

1969年 EA276

1969年に作られたEA276は、初代ゴルフにつながったプロトタイプの1台。ビートルの後継を模索して製作された多くのデザイン・スタディよりも角張ったボディが特徴的だ。フロントに搭載したエンジンが前輪を駆動するという点もゴルフに通じる。しかし、ヘッドライトの間に備わるグリルは誤解を招く。

当時、フォルクスワーゲンは既に水冷エンジンの実験を始めていたものの、EA276はビートルから実績のある空冷水平対向4気筒エンジンを継承していた。外観的にも技術的にも、ビートルとゴルフの間を埋める1台と言えるだろう。

EA276
EA276

1971年 ESVW I

1970年代はじめ、フォルクスワーゲンは他の自動車メーカーと同様、米国運輸省と共に安全性の高いクルマの開発に取り組むことになった。自動車メーカーはこの問題の解決に挑んだ。どれだけ高価になっても、あるいは醜くなっても構わないから、高速走行時の事故から乗員の生命を守るクルマを作ることに力を注いだのだ。おそらく、後にそのいくつかの技術は、市販車に採用されることになっていったと思われる。

フォルクスワーゲンが1971年に製作したESVW Iと呼ばれるプロトタイプは、フロントエンドに衝撃を吸収するプラスチックを装備。さらにパッドで包まれた計器盤など、いくつかの発明が盛り込まれていた。車体後部には最高出力100psの1.8リッター水平対向4気筒エンジンが搭載されている。

ESVW I
ESVW I

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