【車名を言える?】フォルクスワーゲン・ミュージアム 21台の「忘れられたクルマ」たち

公開 : 2020.05.07 11:50

1990年 ビアジーニ・パッソ

フォルクスワーゲン車をベースにしたクルマであれば、同社のコレクションの一角を占める資格がある。イタリア製のビアジーニ・パッソは、最近このコレクションに加わった1台だ。初代ゴルフ・カブリオレの車体に、独自にデザインしたボディキットを装着。ヘッドライトはフィアット・パンダから流用したものだ。さらにゴルフ・シンクロの4輪駆動システムも搭載されている。その結果、ランドローバー・イヴォーク・コンバーチブルの先祖のようなクルマが出来上がった。

ビアジーニ・パッソは、1990年から1993年の間に65台が作られた。ほとんどが本国イタリア市場で販売されたが、中にはドイツに輸出されたというか戻ってきた車両もある。しかし、いずれにせよその多くが既に朽ち果ててしまったようだ。

ビアジーニ・パッソ
ビアジーニ・パッソ

1990年 ヴァリオI

このヴァリオIと呼ばれるコンセプトカーは1990年に発表された。ビートルをベースに作られたメイヤーズ・マンクスと、2019年に公開されたIDバギーの間をつなぐ、ミッシングリンクのようなクルマと言えるだろう。第2世代のゴルフのプラットフォームと1.9リッター直列4気筒エンジンを使い、プラスティック製のバギーのようなボディを架装している。ドアはないので、乗車する際にはそのままサイドシルをまたいでシートに飛び乗ればいい。マンクスとIDバギーにもドアはなかった。

さらにフォルクスワーゲンのデザイナーは、一般的なラジオの代わりにソニー製の大型ラジカセをダッシュボードに組み込んだ。ヴァリオIは実際に走行可能だが、フォルクスワーゲンが市販化を本気で考えていたとは思えない。

ヴァリオI
ヴァリオI

1995年 バルーン・ビートル

ビートルは世界中すべての大陸を制覇した。南極さえもだ。何台かのビートルはボートに改造され、船外機を付けて水上を走行した。しかし、それだけではない。1995年には気球用に開発されたハードウェアが取り付けられ、スイスの上空を飛行したビートルもあるのだ。

ビートルを気球に改造するためには、ルーフに大きな穴をあける必要があった。もともと搭載されていた最高出力35psの水平対向4気筒エンジンを使って、普通のビートルのように4輪で地上を走ることも可能だ。ただし、フロントに装備されている燃料タンクは取り外され、代わりにリアのエンジン・コンパートメントに小型のタンクが押し込まれている。空を飛ぶために重量配分を調整する必要があったからだ。

バルーン・ビートル
バルーン・ビートル

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