【ミニ史上最速】ミニJCW GPへ試乗 306ps、3000台限定のスペシャル 前編
公開 : 2020.05.07 10:20
表現力豊かでシリアスなサウンド
先代のJCW GPと同様に、3代目ミニJCW GPも2シーター。インテリアは、前席周りは標準のJCWと大きな違いはない。モニター式のデジタルメーターと、新しいトリムを得ているくらい。
後ろを振り返ると、軽量化のためリアのベンチシートが外され、ブレースバーが見える。一見、ボディ補強のためと思えるバーだが、JCW GPの場合、荷物がフロントへ飛び出すのを防ぐのが役割とのこと。
シートベルトを締めてスターターボダンを押す。サーキットで育てられた血統を表すかのような、気持ちを高めるのにピッタリのエグゾーストノートが響き始める。
一般道を走り始める。アクセルペダルを離し、シフトダウンをすると破裂音が混ざる。ほかのどんなミニより、音響的な表現力が豊かでシリアス。特徴的な構造を持つステンレス製のエグゾースト・システムと、90mmもあるテールパイプがしっかり機能している。
車重は1255kgで、比較的軽量な部類。306psのエンジンのやる気を引き出すのに不足はない。
低回転域では若干のターボラグがある。2000rpmを超えるとターボの効果が効きはじめ、惹き付けるようなレスポンスを維持。太いトルクによる力強さと、中回転域でのスムーズさが融合し、パワーデリバリーは見事にリニアだ。
むしろトルクは太すぎ、機械式デフロックとダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)をもってしても手に余る様子。強くアクセルを踏みすぎると、低いギアではフロントタイヤが暴れてしまい、ステアリングにも影響が出てしまう。
すぐに見えるミニ史上最高の動的性能
ミニは0-100km/h加速5.2秒と公表しているが、額面通りに動的性能はたくましい。エンジンは6800rpmのリミッターまで力強く滑らかに吹け上がる。ATはマニュアルモードで、素晴らしくキビキビと変速をこなしてくれる。
複雑に用意されたドライブモードを、順番に試す必要もない。従来の量産ミニのなかで、最も高いパフォーマンスを備えていることは、走り出せばすぐに見えてくる。すべてのシーンで標準のJCWより速く、鋭く、熱い。
これはハンドリングにも当てはまる。むしろ、エンジンが生み出すスピード感より、ドライバーへの訴求力が強いことが嬉しい。ミニらしいとも思う。従来以上に極めて機敏に、痛烈にワインディングを抜けていく。
これを叶えているのが、ボディ剛性だけではない、全体の強化対策にある。新しいエンジンマウントと、強固なフロントストラット・ブレース、リアサスペンション・サポート周りの補強が効いているのだろう。
加えてJCW GPには独自のキャンバー角と、強化されたアンチロールバーも獲得。オフセット値が改められた18インチのホイールによって、トレッドも広げられている。
標準採用となるタイヤは、225/35サイズのハンコック。ストリート用のS1 evo2だけでなく、試乗車に装備されていたが、TDセミスリックも選べる。車高は標準のJCWより10mm低く、低重心化されるとともに、視覚的なアグレッシブさも増している。
この続きは後編にてお伝えしよう。