【いまも別格の存在?】W124型Eクラス・ワゴン 手に入れるならいま 前編
公開 : 2020.05.09 20:50 更新 : 2021.01.30 21:14
W124の価格 いまや上昇傾向
状態の良いW124が1000ポンド程度で手に入れられた時代などもはや過去のものだ。
過行く時間としかめ面をしたMOT(英国車検制度)の検査官たちが個体数を激減させたのであり、それはかつて英国版AUTOCARの予算で購入した車両も例外ではない。
親しみを込めて「おじいちゃん」と呼ばれていたL403 GYTのライセンスプレートを付けたこのクルマは、わたしが手放した後の6年間でさらに8万kmを走破したものの、2015年を最後にMOTが失効しており、つまり一時的に登録が抹消されているか、スクラップの憂き目に会ったということだ。
現在ではくたびれた4気筒モデルのセダンでさえ、われわれが支払った2倍のプライスタグを掲げており、人気の6気筒エンジンを積んだコンディション良好なワゴンであれば、いまや最低でも5000ポンド(67万円)と、後継のW210世代のモデルよりもはるかに高い価値を誇っている。
確かにスタイリッシュだが、ボディ剛性に難のあるカブリオレにはさらなるプレミアムが付いており、最高のコンディションを維持した個体であれば2万ポンド(266万円)以上のプライスタグを掲げている。
中毒性のあるクルマ 時がもたらした変化
今回取材したE320は、2003年から英国の公共放送、チャンネル4で放映されていたコメディードラマ、「ピープ・ショー ボクたち妄想族」や、米国のHBOで放送され賞も受賞した「サクセション」の脚本家、ジェシー・アームストロングが数年前フルームから購入したものだ。
このクルマの前にボルボ940エステートに乗っていたアームストロングは、E320のことを「中毒性のあるクルマ」だと話しているが、米国で過ごす時間が長くなり、運転する時間が十分確保出来ないことから、後ろ髪を引かれながらもいまこのクルマを手放そうとしている。
フルームはすでにこのE320を彼の求めるレベルに戻すため必要な作業をいくつかピックアップしていると言うが、サウス・ダウンズで初めてこのクルマを見た時には欠点など何もない様に見えた。
このクルマは馴染み深いフィールを感じさせるが、それでも時の流れが周囲との関係性に変化をもたらしたようだ。
カメラマンの乗るスコダ・スパーブ・エステートの隣では、このクルマの特徴がよく分かる(番外編参照)のであり、最新エステートモデルの横に並んだEクラスは、低くスリムなだけでなく、非常にアップライトなモデルに見える。