【いまも別格の存在?】W124型Eクラス・ワゴン 手に入れるならいま 後編
公開 : 2020.05.10 11:20 更新 : 2021.01.30 21:14
決断の時
では、W124型Eクラスは依然として世界最高のユーズドモデルと言えるのだろうか?
客観的に見れば答えはノーだ。
価格が上昇するとともに、毎日乗ることが出来るようにコンディションを維持するコストと難易度も上がっている。
そして、より安価に手に入れることが出来る、世界最高のユーズドモデルに相応しいモデルは他に数多く存在しているのだ。
だが、ひとびとが求めているのは「世界最高のユーズドモデル」などという称号ではないだろう。
ひとびとが求めるのは、頂点を極めることに成功した本格的なクラシックへと姿を変えつつある1台であり、内燃機関が市場から姿を消した後も長く称賛されることになる、そんなモデルなのだ。
番外編2:W124型Eクラス・ワゴン vs スコダ・スパーブ・ワゴン
当時もっともスタイリッシュなエステートだったW124だが、決して最大の室内スペースを誇っていた訳ではなく、シートアレンジにかかわらず、まるでバンのようなボルボ740/940の方が荷室容量では上回っていた。
だが、スペースとスタイルの両立を目指すと言う意味では、ボルボV90や現行Eクラスを凌ぐ室内スペースを誇るスコダの巨大なスパーブ・ワゴンを忘れる訳にはいかない。
当時の基準で見ても極端なロングボディだったW124の4765mmという全長は、スパーブよりもわずか91mm短いだけだ。
だが、室内空間ではエンジン横向きのレイアウトで効率的なパッケージを実現したスパーブに、W124は比べるべくもない。
Eクラスがリアシートを起こした状態で530L、シートを倒した状態であれば1770Lの荷室容量である一方、スパーブであればそれぞれ660Lと1950Lを確保しており、さらに後席レッグルームでも大きくW124ワゴンを凌ぐ。
それでも実際の使い勝手の面では、フラットで長さもあり、フロアの低い荷室に幅のある開口部を組み合わせたW124の勝ちだ。
だが、スパーブは求められるダイナミクス性能がどれほど変化したかを示す存在でもある。
現行モデルとしては、もっともソフトな足回りを持つ1台であるにもかかわらず、W124と比べればこのクルマはまるでスポーツカーであり、はるかにダイレクトなコントロール性と、ハッキリと硬いがより抑制された乗り心地を備えている。
番外編3:英国版 W124型Eクラス・ワゴン 掘り出し物3選
E220ワゴン(1993年モデル)、走行距離8万2000km、5250ポンド(69万9000円)
大排気量という魅力には欠けるものの、4気筒モデルはより安価に手に入れられるだけでなく、維持するにもコストが掛からない。
販売店はこの低走行車両の詳細なスペックを明らかにしていないが、間違いなく魅力的な1台だ。
E280ワゴン(1994年モデル)、走行距離22万km、4250ポンド(56万6000円)
まさに、平均価格のW124型Eクラス・ワゴンを象徴する1台だ。
後期6気筒エンジンを積んでツインエアバッグと3列目シートを備える一方、ギアボックスは4速オートマティックでありエアコンも装備していない。
スペンサー伯爵が所有していたこの車両は、かつてはまさにエステートの名に相応しい「貴族」のクルマだった。
E320ワゴン(1995年モデル)、走行距離15万6000km、7500ポンド(99万9000円)
素晴らしい外観をした車両であり、5速オートマティックギアボックスや折り畳み式3列目シート、クルーズコントロール、さらには希少なクライメートコントロールに加え、最近行った大掛かりなメンテナンス履歴まで備えている。