【新型ディフェンダー開発の舞台裏】5人の重要人物にインタビュー 前編
公開 : 2020.05.09 18:50
初代の精神 万能のモデル
では、彼らはどうやってこれまで何度も失敗してきたプロジェクトを進めることが出来たのだろう?
ロジャースの答えはシンプルだ。
「それは、初めて1948年に誕生した初代ディフェンダーの精神を活かそうとしたからです。これまでの計画は、現行ディフェンダーを単に現代的なモデルにアップデートしようというものに留まっていました」
「今回は初代ディフェンダーを創り出したひとびとの精神を踏襲するだけでなく、その精神を現代流に解釈しようと決めたのです」
「2020年から数十年に渡って必要とされるディフェンダーとはどんなモデルであるべきかということを、 わたしの家にプロジェクトのメンバーを集めて徹底的に議論しました」
そこでは、例えばテールゲートに取り付けられたスペアホイールは新型でも引き続き採用されるべきだなどという、あらゆる事柄が議論されている。
「オフローダーとして十分なデパーチャーアングルを確保するのであれば、リアオーバーハングは短くなければなりません」と、ロジャースは言う。
「つまりリアを大胆にカットする必要があるということですが、その結果、スペアホイールの設置場所は必然的に一カ所に限定されます。これでスペアホイールの位置は決定です」
こうした議論を通じて、新型ディフェンダーには先進のコネクティビティ技術が与えられることになったとロジャースは言う。
「ランドローバーで新型ディフェンダーの開発にかかわったひとびとは、このクルマを万能のモデルにしたかったのです」
ジム・モーガン:電気システム担当チーフエンジニア
最新のコネクティビティ いつでもアップデート
新型ディフェンダーは、ジャガー・ランドローバー最新のコネクティビティ技術を備えたモデルでもあるが、その裏にはジム・モーガン率いるチームの働きがあった。
彼らはランドローバーが「Third Dimension」と呼ぶ、つねに起動された状態で外部と繋がり、いつでもアップデート可能なシステムの設計開発を担当している。
ハードウェアそのものを目にすることは出来ないが、そのメリットは計り知れない。
Third Dimensionが新型ディフェンダーの多用途性を大きく向上させるとともに、さまざまな変更にもより迅速に対応することを可能にしている。
まだ登場から3年しか経っていないEVモデル、ジャガーIペイスが搭載しているアップデート可能なシステムの数が4つに留まるところ、新型ディフェンダーではその数が16にも達しているのだ。
さらに、新型ディフェンダーの先進性はこれだけではない。
「われわれに与えられたミッションは、最新であるだけではなく最高の価値をお客様に提供することでした」と、モーガンは話す。
「スマートフォンに代表されるとおり、いまソフトウェアの定期的なアップデートは常識であり、これがすべての考え方の基本となっています」