【「お迎えグルマ」に異変?】トヨタ・センチュリーとロールス・ロイス 共通点と相違点
公開 : 2020.05.07 05:50 更新 : 2021.01.28 18:08
センチュリー、21年ぶりのフル刷新
「センチュリーは1967年、トヨタグループの創始者である豊田佐吉の生誕100年を記念して発売しました」
「以来、50年にわたり『日本を代表するショーファーカー』として各界のエグゼクティブにご愛用いただいております」
2018年6月22日、21年ぶりのフルモデルチェンジを受け、トヨタ広報部が配布したプレスリリースには、そう記載されている。
実車を見ると確かに、トヨタがいう「日本の伝統美」を感じる。
日本車ではこれまで、コンセプトモデルを含めて、様々なかたちで日本の伝統美を表現してきたが、正直なところ中途半端なものが多かった。
センチュリーは違う。
職人による匠の技を駆使したボディ加工を施す「几帳面」について、製造現場であるトヨタ自動車東富士工場で加工の様子を実際にメディアに公開したが、確かに各部で本物へのこだわりを実感する。
広報車を運転してみたが、2代目と比べてかなり運転しやすい。レクサスの流れを汲む車体とハイブリッドシステム(V型8気筒4968cc+モーター:システム出力431ps)との相性は当然良い。閉鎖されて空間でS字スラロームを行っても、動きにもっさり感はない。
後席での乗車体験もしたが、各部での遮音効果とノイズキャンセレーション機能により静かでゆったりとした時間が過ぎていった……。
どうなる? 将来のショーファーカー
ロールス・ロイスの新たな展開、そしてトヨタ・センチュリーの進化。
こうした状況から、ショーファーカーの未来が少しづつ見えてきたように思える。
今後も、皇族や王室ではショーファーカー本来の姿は残ることは間違いない。政治家や企業経営者向けでも同じだ。
その上で、ショーファーカーであっても、「ファン・トゥ・ドライブ」であることが必要となる。
例えば、トヨタ系のレースやアフターマーケット商品と手掛けるTOM’sが東京オートサロン2020で発表した、車両価格2816万円にカスタマイズされたセンチュリー。
実車を見たが、センチュリーのショーファーカーからオーナーカーへの進化の可能性を感じた。
もう1点は、自動運転だ。日本では今年(2020年)から運転の責任は自動車のシステムが担うレベル3搭載車が、使用条件を限定するかたちで量産される予定だ。
また今後は、運転席に運転者がいない、レベル4やレベル5が現実に始まる可能性だってある。
そうなった場合、ショーファーカーはどうなるのだろうか?
運転はしなくとも、走行中・移動中に「おもてなし」をする、新しい形のショーファーが登場するのかもしれない。