【なにが違う?】日産の新型EV「アリア」、リーフとは比べ物にならず 今の日産に最重要なワケ
公開 : 2020.05.08 05:50 更新 : 2021.06.04 11:13
リーフ、歩んできた進化と電池対応
リーフが誕生したのは、いま(2020年)から10年前の2010年。
同じ頃、三菱自動車は「i-MiEV」を発売した。
この2モデルが、日本に限らず世界を含めて大手自動車メーカーが始めて大量生産したEVである。
EVの歴史は長く、古くはガソリン車が普及していなかった1900年代初頭、米ニューヨークでは数多くのEVタクシーが走っていた。
それから約100年間、何度かEVブームが来たが、ガソリン車と同等に利活用するための技術的なハードルを超えることができなかった。
リーフとi-MiEVが、それまでの少量生産EVと大きく違ったのは、駆動用の蓄電池を自社資本で賄うことだった。
EVの技術的なハードルとは、電池のコスト、航続距離、充電インフラと言われるが、どれも電池の性能に直結する。
日産の場合、リーフに対応するため、材料技術を持つNECトーキン等とリチウムイオン二次電池を専門に企画/製造するオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を、日産座間工場内に設立した。
AESCによってEV向け電池の性能は安定的に向上し、量産効果によって価格も下がっていった。
ただ、2010年代中盤以降、中国でのEV向け電池生産が一気に増え、中国向けでは日産は中国製電池を購入することになった。
こうした流れと並行するかのように2019年4月、AESCは中国の環境関連企業のエンビジョンに売却された……。
アリア、日産EV戦略第2世代の大黒柱
リーフ誕生の後、2014年にはテスラ「モデルS」そして「X」、BMW「i3」など欧米メーカーがEVに本格参入。
これを受けてリーフは電池容量を拡大。さらに、2017年には第2世代となり電池容量はさらに大きくなった。
過去10年間で、リーフはEVとして段階的に熟成されていった。
そして迎えた2020年、アリアが登場する。
前述のように四輪制御システム「e-4ORCE」が実装できるのも、リーフで培われたEV技術の基盤があるからだ。
そのうえで、自動運転技術を活用した高度運転支援システム・プロパイロット2.0や、20年代半ばには本格普及が予想される第五世代通信5Gを念頭にしたコネクティビティ技術が搭載される。
日産関係者が言うように、アリアは人とクルマの関係を変える礎になるのかもしれない。アリアはリーフ後継でも、リーフの兄貴分でもない。
日産EV戦略第2世代の大黒柱である。
一見、無機質なイメージがあるアリアだが、そこには人とクルマ、クルマと社会、さらに人と社会との関係が大きく変わる可能性を秘めているように思える。
日本の自動車各メディアでは、2020年夏頃登場と予測しているアリア。
その動向を今後もしっかりとフォローしていきたい。