【F1開幕に好影響?】コロナ禍 モータースポーツ運営の難しさ 米NASCARは再開、なぜ?

公開 : 2020.05.09 05:50

多くの人は、単年契約で不安定な収入

NASCARは、運営本部にはフロリダ州デイトナビーチにある。レースの企画と運営、マーケティング・広報などNASCARレースシリーズ全体に関して業務を行う。

ここで働く従業員のほとんどは、正社員である。

実際にNASCARレースに関わる多くの人は、非正規雇用者。レーサーはもとより、メカニックやエンジニアも年間契約が一般的。
実際にNASCARレースに関わる多くの人は、非正規雇用者。レーサーはもとより、メカニックやエンジニアも年間契約が一般的。

一方、実際にNASCARレースに関わる多くの人は、非正規雇用者だ。

特にレーシングチームの場合、レーサーはもとより、メカニックやエンジニアも年間契約が一般的だ。

非正規雇用といえども、チームペンスキーなどトップチームでは実質的に複数年契約の場合がある。

だが、中位以下のチームの場合、チームの運営状況によって契約期間途中で解雇されることも珍しくない。

こうしたチーム関係者の雇用を守ることは、NASCAR本部にとってシリーズの安定運営のために必要不可欠であり、早期のシリーズ復活を考慮した。

その他、シリーズの早期再開を決断した大きな要因は、テレビの放送権だ。

NASCARが90年代以降に興行として大成功を収めた背景には、テレビ局との番組編成における連携がある。

以前は、放送権や開催権が主催レース場の運営企業によってまちまちだったが、近年はNASCAR本部の統制力が高まっている。

つまり、開催を延期することはNASCAR本部の経営を直撃する。

こうしたビジネスモデルはMLB、NBA、NFL、PGAなど他のプロスポーツでも見られるが、NASCARが早期にシリーズ再開できたのはなぜか?

F1やスーパーGTはどうなるのか?

モータースポーツはマシンを介して競い合うため、選手どうしが直接触れ合う機会が少ない。

また、レーサーもメカニックも、平時でもヘルメットやレーシングスーツで外部からの衝撃や火災の影響を考慮しているため、結果的に新型コロナウイルスに対する防護に役立つともいえる。

F1の場合、開催地域が国をまたぐため、国によってウイルス拡大の収束の状況や、経済活動回復における指針が異なるため、例え無観客であっても早期の開催再開は難しい。
F1の場合、開催地域が国をまたぐため、国によってウイルス拡大の収束の状況や、経済活動回復における指針が異なるため、例え無観客であっても早期の開催再開は難しい。

その上で、レース再開で最大の課題は、観客への対応だ。観客席や会場各所で「密閉、密集、密接」が起こってしまう。

そのため、今回、NASCARは無観客レースとして再開する。無観客について、観客はあるていど許容できるはずだ。

それは、e-モータースポーツの影響がある。

こうしたNASCARの現状を踏まえて、F1やスーパーGTなどはどうなるか?

F1の場合、開催地域が国をまたぐため、国によってウイルス拡大の収束の状況や、経済活動回復における指針が異なるため、例え無観客であっても早期の開催再開は難しい。

現時点で7月開幕案があるが、F1関係者の間では疑問視する声が少なくない。

一方、国内レースについては、緊急事態宣言が5月31日まで延長となった現時点では、早くて7月開幕案があるが、この場合でも無観客レースの可能性が高いだろう。

日本でもトヨタをはじめe-モータースポーツへの積極的な参入があり、NASCAR同様に無観客でも十分に楽しめるレース運営になることを期待したい。

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