【オールインワン・ワゴンの雄】アウディRS4アバントへ試乗 フェイスリフト
公開 : 2020.05.11 10:20
アウディRS2以降受け継がれる伝統
排気システムへも細かな改良を受け、エグゾーストノートはフェイスリフト前より聴き応えのあるものになった。ボリュームも大きくなっている。だが、V8 NAを積んでいた3代目並みに、聞き惚れるものではないけれど。
トランスミッションはトルクコンバーター式の8速AT。ステアリングホイールにはパドルシフトが付き、アウディ自慢の四輪駆動システム、クワトロも最新のものへ進化。スポーツ・デフを搭載し、リアタイヤの左右個別に、駆動力を調整できる。
これらが組み合わさり、オンロードでの個性が生み出されている。目的地への移動速度も質感も、目をみはるほどだ。
しかも最新のRS4アバントは、運転が極めて安楽。圧倒的なパフォーマンスを、揺るぎない自信と安心感に包まれながら享受できる。
速度感応式の電動パワーステアリングは、重み付けも良好で、反応も鋭い。伝わる情報量や感触でやや物足りなくても、RS4アバントの進路を確実に定めていける、一体感のある敏捷性にまとめている。
この特性は、1999年にポルシェの手によって誕生したアウディRS2以降受け継がれる、RSシリーズの伝統だといえる。
アダプティブダンパーを含める、ダイナミック・ライドコントロールはオプション。こちらはボディの無駄な傾きを極力抑え込み、抜群の姿勢制御を叶えている。
姿勢制御と動的性能を決定付けているのが、秀抜のグリップ力とトラクション。20インチの275/30という太いタイヤが、凄まじいロードホールディング性を見せつける。
オールインワンと呼べるパッケージング
加えてトルクベクタリング機能が、高速コーナリングをサポート。縦方向のボディの安定性も、新次元と呼べるだろう。
オプションでダイナミック・パッケージを選ぶと、最高速度は280km/hへアップ。アウトバーンを疾走するための力が、すべて解き放たれる。
乗り心地は、想像通りかなり引き締まったもの。それでもコンフォート・モードを選べば、充分なしなやかさと衝撃吸収性が得られる。ツギハギだらけの裏道でもない限り、乗り心地は過酷なものに感じられないはずだ。
スーパーカー級の動力性能を楽しめる、アウディRS4アバント。長距離移動の上質さと、大人5名や大きな荷物も載せられる、オールインワンと呼べるパッケージングを獲得している。あらゆるシーンや気象条件に対応する、並外れた基本性能がその根底を支える。
ダイナミック・モードで数分間の刺激を楽しんだ後、コンフォート・モードで快適な移動空間に長時間浸ることもできる。RS4アバントは、比類ないクルマだといって良い。
2ドアのRS5クーペと、5ドアのスポーツバックという選択肢もなくない。人とは少し違ったスタイルを好む向きには、完璧な兄弟モデルとなるだろう。
だが、RS4アバントの英国価格は6万4625ポンド(872万円)と、その2モデルよりも安価。多機能で多用途なオールインワン・ワゴンが、3台で最も手の届きやすい位置にある。これ以上、求めるものはないように思える。
アウディRS4アバント(欧州仕様)のスペック
価格:6万4625ポンド(872万円)
全長:4781mm
全幅:1866mm
全高:1404mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:10.8km/L
CO2排出量:210g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/5700-6700rpm
最大トルク:61.1kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック