【詳細データテスト】プジョーe208 パッケージ面は◯ 走り、EVの功罪がはっきり 乗り心地は良好
公開 : 2020.05.16 11:50
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
e208のコンパクト・モジュラー・プラットフォーム(CMP)は、大幅な改修をすることなしに、電気モーターと大きなバッテリーを搭載できるよう、念入りに開発された。
このクルマのリチウムイオンバッテリーパックは、キャビンのフロア下に収容。スペースを効率よく使うよう、H字状に配置されている。18セルのバッテリーパックは、前後のシート幅いっぱいに並び、総容量はグロスで50kWh。WLTPテストサイクルでの航続距離は349kmと、このクラスでは上位に入るもので、大きなセールスポイントになりそうだ。
このバッテリーパックの総重量は300kgに達し、車両重量は1455kgと、内燃エンジンモデルにそのバッテリー分を上乗せしたくらいある。しかし、その追加ウェイトは可能な限り低い位置に置かれ、さらにはホイールベース内に収められた。
元来の設計思想どおり、メカニカルなモディファイは最小限にとどまっている。最も大きな変更は、リアトレッドを12mm拡大したこと。これは、バッテリー搭載スペースを確保するための措置だ。
サスペンションの形式そのものは、ベーシックな208と同じ。すなわちフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームで、スプリングはコイルだ。
駆動方式は前輪駆動で、永久磁石式同期電動モーターは136psを発生。これは、現状のラインナップにおけるもっともパワフルな208ということになる。さらに、26.5kg-mと十分なトルクを、ゼロ回転から瞬時に叩き出す。
シングルスピードのトランスミッションは、一般的なドライブモードのほか、ブレーキモードが設定される。後者ではアクセラレーターペダルから足を離すと、即座にモーターの極性を逆転させ、強力なエネルギー回生ブレーキ効果をもたらす。
さらに注目すべきは、エアコンとヒーターに用いられているヒートポンプだ。これは従来の抵抗熱交換器に比べ、エネルギー消費を最大3分の1にまで軽減できるという。
エンジンとの決別による既存顧客のショックを最小限に食い止めるべく、デザイナーたちはe208のルックスを、ベースとなる208からほとんど変えなかった。最大の識別点はグロスブラックのホイールアーチエクステンションだが、これはトレッドの拡幅に対応したアイテムだ。
そのほか、Cピラーに据え付けられたeの字を象ったロゴバッジと、フロントグリルが専用品。また、ライオンのエンブレムはシルバーとブルーの2色で飾られ、光の当たり具合によって色合いが変化する。
総じて、これはハンサムでプロポーションのいいクルマだ。近年のプジョー車としては、ベストなスモールカーではないだろうか。