【詳細データテスト】プジョーe208 パッケージ面は◯ 走り、EVの功罪がはっきり 乗り心地は良好
公開 : 2020.05.16 11:50
走り ★★★★★★★★☆☆
瞬発力のあるトルクフルな加速というEVではおなじみの特徴は、e208でも健在だ。そのスマートな発進は、市街地走行で効果的なパフォーマンスをもたらす。
さらに、トランスミッションがシングルスピードのリダクションギアなので、加速はシームレス。走りはじめのクラッチ接続や、走行中のシフトチェンジといった、中断を生む要素が介在しないのだ。
シグナルスタートでは、かなりの急加速が可能なポテンシャルを発揮する。それはこのクルマはもちろん、周囲のエンジン車に乗るドライバーさえも驚かせるほどだ。
やはりパワフルな電動パワートレインを持つライバルたちと同じように、e208がベストなパフォーマンスをみせるのは低中速域。そこでは、ホットハッチに近い速さを体感できる。
80km/hを超えると、加速力はかなりはっきりと低下してくる。それは自然吸気ガソリンを積む、中間グレードの小型ハッチバックとさほど変わらない程度だ。
高速道路の制限速度でのクルージングも余裕でこなすが、その際にはアクセラレーターペダルを思った以上に踏み込むこととなり、航続距離への悪影響も予期される。スポーツモードでは、そのペダルの敏感さがノーマルとエコの各モードより増し、レスポンスが向上する。
ずんぐりしたシフトレバーを引き、DからBへとレンジを移すと、回生ブレーキがよりアグレッシブに効くようになる。フルにスロットルオフにすると、ブレーキライトが点灯するほど減速するので、1ペダル運転も可能だ。
その効きが適切に予測できるようになれば、ブレーキペダルに触るのは停止する手前の数m程度で済むだろう。e208のブレーキには、ペダルフィールと、操作に対するプログレッシブな効き方が不足している。このクルマをスムースに制動するには、デリケートな足捌きが必要なので、1ペダル運転は間違いなく有効だ。
このプジョーがライバルをリードしているのが、パフォーマンスの洗練ぶりだ。これにより、ほとんど音もなくパワーを発生させる電気モーターの強みが生きてくる。
EVはモーター作動音の静かさゆえに、ほかのノイズが際立ってしまうこともしばしばある。しかし、e208に関してそんなことはない。遮音フロントウインドウが標準装備されていることもあり、風切り音やロードノイズはみごとに遮断されている。