【キックスeパワー】タイで先行発表 日本人にとってプラス? 日本でも見込めるeパワー効果
公開 : 2020.05.15 05:50 更新 : 2020.05.15 09:30
本日、タイで日産キックスが発表されます。注目すべき点は「eパワー」の文字。タイで先行してeパワーが投入される=日本をメインとする考えから離れることに、メリットがあるか? 日本軽視ではないのかを考えます。
日産キックスeパワー まずはタイから
東南アジアのタイでの発表なのだから、日本のユーザーに直接関係ない。
本当にそうだろうか?
日本導入まぢかとなった、日産のコンパクトSUV「キックス」。日産のタイ法人のウェブサイトでは、今年(2020年)5月15日19時から実施の「キックス」発表会ライブ中継に向けたカウントダウンが始まっている。
キャッチコピーは「新しいスリルがやってくる」だ。
この「スリル」とは、タイ初採用となるeパワーを指す。
本来、タイでの新型キックス発表は3月25日からのバンコクモーターショー2020だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月20日に延期され、さらに5月末まで再度延期される事態となっている。
タイ日産としては、タイでの導入インパクトが大きい新型キックスが商品として「旬」であるうちに、ウェブサイト上での独自イベント実施という決断に至ったようだ。
タイではモーターショーはたんなるクルマの閲覧会ではなく、ショー会場にディーラーマンが常駐しており、その場で購入できるシステムがある。
そこでの売り上げが、その後の販売に大きな影響を及ぼすからだ。
こうしたタイでのキックス導入に対する、日産の積極的な動きは日本のユーザーにも確実に影響が及ぶ。
特に注目されるのは、新車価格だ。
eパワーのコスト、車両価格にも反映
量産効果によって、eパワーのコストが下がれば、車両価格にも反映される。
ブラジル、中国、アメリカ、インドなどで販売されてきた現行キックスは、1.5Lまたは1.6Lのガソリンエンジン車だ。
これがタイを皮切りにeパワー化することで、タイ以外の国からもeパワー需要を呼び起こすことにつながる。
とはいえ、キックスのタイ導入と日本導入の時期が近いため、タイでの初期需要が一気に伸びても、日本でのキックス新車価格が安くなるとは言えない。
ただ、そうした実売効果を待たずして、eパワーのコストについては、すでに販売されている「ノートeパワー」と「セレナeパワー」に比べて安くなるための方策がとられている可能性が高い。
キーポイントは、タイが世界市場向けの重要な生産拠点であることだ。
タイの日産工場は、首都バンコクから南東に向かって車で約1時間の距離にある。さらにそこから1時間ほど行くと、マツダや三菱の生産工場がある。その他、トヨタ、ホンダもバンコク周辺に生産拠点がある。
筆者(桃田健史)はこうした各工場を取材する中で、タイから世界に向けた船舶による物流網がいかに発達しているかを実感してきた。
キックスeパワーの世界向け輸出を考えると、すでにeパワーのコストは下がったと見るべきだ。