【キックスeパワー】タイで先行発表 日本人にとってプラス? 日本でも見込めるeパワー効果
公開 : 2020.05.15 05:50 更新 : 2020.05.15 09:30
eパワー日本専用から脱却 メリットは
日産はeパワーを日本専用として位置付けていた。
2016年11月、ノートに初採用されたeパワー。横浜の日産本社で実施された報道陣向け試乗会で、日産関係者はeパワーユニットの技術展示品を前に「日本専用として開発した」と明言した。
電池、モーター、制御システムなどの詳細について聞くと「リーフで培った技術を盛り込んで…」と詳細については語らなかった。
実際、リチウムイオン二次電池については、リーフが採用しているAESC(オートモーティブエナジーサプライ、現:エンビジョンAESC)製ではないことを、ASEC本社(神奈川県座間市)で関係者から直接聞いた。
広報車両が置かれた日産本社の地下駐車場から屋外に出る際、途中の登坂でいきなりエンジンが作動。エンジンは発電機という名目だったので、このタイミングでエンジンが動いたことに少々驚いた。
そして、横浜市街を巡りながら、日産がワンペダルと呼ぶ回生力が極めて強いセッティングに対して驚いた。
こうした運転特性をタイでは「スリル」と呼び、これから世界展開を図る可能性がある。
タイを含めた各地で導入され、多様な国民からeパワーに対する意見や感想が得られることで今後、eパワーのさらなる性能向上が見込まれる。
これは日本のユーザーにとってコスト低減とともに大きなメリットだ。
キックスeパワー、日本軽視なのか?
一方で、キックスeパワーを題材に、日産が日本市場を軽視しているのではないか、という見方もあるかもしれない。
新型ジュークは英国で発表され、日本では販売されず、日本でのジューク後継がタイ生産でタイで先行発売の事実上マイナーチェンジのキックス。
これを、日本軽視と捉えるかどうかだ。
ユーザー目線では、かなりのマニアでない限り、そのクルマの世界市場における位置付けを気にして購入を決めることはないと思う。
各種の調査では、クルマの購入動機は、値引きを含めた価格、デザイン、燃費、使い勝手などが主流である。
また、eパワーについては、現行ノート発売4年後のマイナーチェンジでの採用でも、プリウスやアクアを抜いて登録車販売トップに躍り出た。
これは、ユーザーがeパワーの独自性を商品価値として認めたからだ。
日産は、電動化技術の普及でトヨタハイブリッドに大きな遅れをとり、EVの早期導入を決断。その流れを汲むeパワーがまずは日本で支持され、これからタイをベースに世界各国での普及を狙う。
日産にとって貴重な資産であるeパワーを搭載したキックス。日本でどんな価格で、どのような走りを感じることができるのか、ユーザーの期待が高まる。