【英国に変化を与えた懐かしの日本車6台】ダットサン・サニー1000(B10型)/コルト・ランサー1200(A70型)/スズキSC100 GX(セルボ) 後編
公開 : 2020.05.23 16:50 更新 : 2020.12.08 11:04
好きになる要素がたくさんあるランサー
今回登場願った初代ランサーは、三菱モータースUKのヘリテイジ部門が管理する車両。A70シリーズは、1979年になると2代目ランサーEXへと置き換わっている。
「このコルトは、クラッチの重み付けも丁度良く、ブレーキも安心できます。ハンドリングもしっかりしています」 と話すのは、日本車愛好家で本日の運転を任された、ダレン・ランガサミー。「ランサーには好きになる要素が沢山ありますよ」
ボディの見た目には、かすかにアメリカの香りが残る。特にCピラー周り。パンフレットにはこう記された。「優れた耐久性と、道を征服するパフォーマンス」
多くのドライバーは、心地良い変速フィールと、作り込みの良い仕上がりに満足していた。ステアリングはチルト調整も可能だった。狭い駐車場では、小気味いいダッシュも楽しめた。
可愛らしい雰囲気を漂わせるコルト・ランサーだが、今回はさらに若く、小さなスズキが加わっている。あまりに小さなスズキSC100(セルボ)と並ぶと、サニー1000は大きなアメ車のようだ。
970ccの4気筒エンジンは、英国バッキンガムシャーの田園地帯にこだまするサウンドを鳴らす。盛大なエンジンノイズは、制御の効かないドライヤーのようにけたたましい。驚くほど活発にスピードを乗せていく姿に、フォード・モンデオのドライバーも目が奪われていた様子。
スズキがジウジアーロ・デザインによるフロンテ・クーペを発表したのは1971年。続いて一回り大きいボディをまとい、1977年にセルボが登場している。
RRの小さなプアマンズ・ポルシェ
英国で小さなスズキの販売が始まったのは1979年。SC100というモデル前を名乗った。トップグレードのGXのみで、ウィズキッドと呼ばれた。
当時のモーター誌にはこう書かれている。「これまで試乗したクルマの中で、これほどの低価格と、パフォーマンスや経済性を両立させたモデルに出会ったことがありません」
当時の広告には、ウィズキッドは楽しくスタイリッシュで、ほかとは違う。と書かれた。決して誇張ではなかった。
ミジェットの生産終了に悲観した人々を救い、安価にポルシェ911風のオーナーになることを許してくれた。最高速度はポルシェに遥か及ばなくても、レイアウトは同じリアエンジン・リアドライブ。資金の工面も簡単だ。
英国のスズキGBは、このスズキSC100 GXウィズキッドを2003年から保有している。広報責任者のアラン・パリーは、許す限りどこへでも運転して、楽しんでいる。
「エンジンは回りたがりで、ギア比は驚くほど高いです。ほかのドライバーは、その小ささに目を疑うようです。しっかりと交通の流れに付いていけることにも、驚きますね」
「いつもライトを付けて走っています。車線の幅の半分も使わないほど小さいですから」 1982年にスズキSC100が生産終了となるまでに、4693台が英国人オーナーへと渡っていった。