【すでに素晴らしいホットハッチ】VWゴルフGTI 新型開発車両の助手席へ 前編
公開 : 2020.05.16 10:20
7代目GTIパフォーマンスに近い動的性能
8代目ゴルフGTIの最高出力は、245psを4700rpmから6200rpmで発生。最大トルクは、37.6kg-mを1600rpmから4300rpmの範囲で生み出す。
通常の7代目ゴルフGTI比で見れば、15psと2.0kg-mの増強となる。一段高性能だった、7代目GTIパフォーマンスと同じ数値だ。
トランスミッションは、標準が6速マニュアル。オプションで、ステアリングホイールにシフトパドルの付く、7速デュアルクラッチAT、DCTも選択できる。プロトタイプもこちらだった。
電子制御のリミテッド・スリップデフも装備される。フォルクスワーゲン流に呼ぶと、XDS。コーナー内側のタイヤのスリップを検出し、電子制御のスタビリティ・コントロールを介して左右個別にブレーキを掛け、トラクションを維持する。
フォルクスワーゲンは、まだ動的性能の具体的な数値の多くを明らかにしていない。だが、標準のゴルフGTIは、先代のゴルフGTIパフォーマンスに近いことを、シェブスダットはほのめかした。つまり、0-100km/h加速は6.2秒付近だろう。
ちなみに彼は、初代フォード・フォーカスや、ポルシェ911GT3 RS 4.0など、評価の高いモデル開発にも取り組んできた人物。7代目ゴルフGTIの戦略を展開し、最新GTIでも2段階のラインナップを計画しているという。
従来のGTIパフォーマンスはなくなる。標準のゴルフGTIが、それに代わる性能を得ている。先代では限定生産となっていたサーキット走行前提のグレード、クラブスポーツが、GTI TCRと交代してレギュラーになる。
まだ多くの細かい調整項目が残っている
GTIクラブスポーツには、先代のGTI TCRと同等のチューニングを受けたEA888型が搭載される見込み。7代目ゴルフGTI TCRは、最高出力290ps/5400rpm、最大トルク37.6kg-m/1950rpm-5300rpmだった。
それ以外の駆動系に関する情報はない。ダイナミクス性能に関わる部分だからだろう。
エーラ・レッシエン開発センターで確かめられるのは、新しい標準のゴルフGTIが、どんな走りをするのかということだけだ。
このコースには、ほとんど何でもある。数分間はアクセルをベタ踏みできる、地平線へ消える長いストレート。遠心力を借り、適正な速度ならステアリングホイール操作が不要となる、大きなバンク角の付いたコーナーも。
インフィールドにはハンドリングコースもある。あらゆる種類のカーブや、路面状態が用意されている。
クルマにとっては、かなりきついテストのはず。公道に出ることなく、さまざまな条件で、限界領域付近での挙動も確かめることができる。
1974年にフォルクスワーゲンがゴルフGTIを発表して以来、クルマを際立たせてきたダイナミクス性能を、8代目も養うことができたのだろうか。従来以上の幅広い顧客を獲得するのに充分な、訴求力を備えているのだろうか。
「まだ多くの細かい調整項目が残っています。すべてのコンポーネントが対象です。新しいゴルフの開発当初から、予め組み込まれていたプロセスです」 と、シェブスダットは説明を続けた。
この続きは後編にて。