【アライアンスの利点最大化】日産とルノー カジャー/キャプチャーの製造、英国へ移管との報道

公開 : 2020.05.15 19:50

ルノーの2つのSUVモデルの製造を、日産の英国工場に移管する計画があるとメディアが報じました。アライアンスの利点を生かした戦略には、英国のEU離脱による関税引上げや、パンデミックによる影響などの課題が残ります。

アライアンスの製造効率化か 英報道

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

日産とその提携パートナーであるルノーは、ルノーの2つのSUVモデルの製造を、英サンダーランド工場に移管する方向で、話し合いを行っていると、フィナンシャルタイムズ紙が報じた。

日産キャシュカイおよびジュークと、それぞれプラットフォームを共有するカジャーとキャプチャーは、現在スペインで製造されており、両社は、日産の海外主力工場であるサンダーランドへの、生産統合を目指している。

ルノー・キャプチャー
ルノー・キャプチャー

日産は、この再編により生産能力が20%減少するバルセロナ工場を、2023年に閉鎖することを計画している。

同工場は、これまで生産能力の30%しか稼働されていなかったと報告されており、閉鎖後は、商用車を輸入に切り替えるとのことだ。

ルノーで最も人気のある、2つのモデルの生産が英国に移されれば、サンダーランドに大きな雇用機会をもたらすだろう。

ただし、良いことばかりではない。英国のEU離脱が決定されてから、同工場の将来は不透明となっており、対EU諸国への輸出関税の引き上げが危惧されている。

新しいヨーロッパ戦略

今回のこの動きにより、ルノー・日産・三菱アライアンスの元CEO、カルロス・ゴーンの逮捕およびレバノンへの逃亡以来、緊張関係にあると言われていた両社の関係が、回復に向かっていることが示された。

ゴーンは、両社のアライアンスの締結に尽力し、当時、世界最大の自動車メーカーグループを作り上げたが、一方でアライアンス内の上級幹部間に、亀裂をもたらしたと言われている。

ルノー・カジャー
ルノー・カジャー

今月28日に、日産の新しいCEOである内田誠によって、同社のヨーロッパ再編戦略が、正式に発表される。

ヨーロッパ市場で苦戦している同社の抱える問題は、今回のパンデミックにより、さらに深刻化していると言われており、解決すべき課題は多そうだ。

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