【クルマ選びの新たな指標?】「ゴルディロックスの原理」を知っているか ホット過ぎずクール過ぎず 前編
公開 : 2020.05.24 11:50
そのクルマの神髄を体現
ゴルディロックスの原理に当てはまるモデルというのはどの価格帯にも登場し得るのであり、時にそれはその車種が存在する理由だとすら思えることもある。
例えば、個人的にBMWが20年近くもミニを作り続けている理由は、ハッチバックモデルのクーパーを抜きにしては考えられない。
ミニというクルマを体現しているのはベースモデルのワンではなく、つねに少しばかりの積極性が必要なものの、依然としてシンプルで分かり易いクーパーというモデルなのだ。
そして、そう思うのはミニとは小さく運転が楽しいモデルでありながら、手ごろな価格のクルマであって欲しいという願いがあるからだ。
ハッチバックモデルのクーパーには、カントリーマンにはないミニらしさが感じられるのであり、こうしたことはどんなモデルにも該当する。
カイエンは非常に有能なSUVだが、個人的には依然としてポルシェと言えば、リアにフラットシックを積んだクーペを意味しているのであり、ポルシェ911にもゴルディロックスの原理に当てはまるモデルというものは存在している。
1970年代初頭、911にはTとE、そしてSというモデルがラインアップされていたが、もっとも人気が高かったのがミッドレンジのEだ。
Sは少しばかりパワフルなエンジンを積んではいたものの、公道ではもっとも重要な中回転域での力強さに欠けるとともに、当然ながらより高価なプライスタグを掲げていた。
番外編1:ゴルディロックスの原理 その例外
アストン マーティンDB11
V8エンジンを積んだDB11も素晴らしいモデルだが、より強烈なAMG由来のパワーユニットのほうがヴァンテージには相応しい。
対照的に、DB11 AMRに積まれた滑らかで素晴らしい咆哮を響かせるV12は、グランドツアラーとしてのこのクルマのために生み出されたようだ。
フォード・マスタング
2.3L 4気筒エンジンではなく、自然吸気V8を積んだマスタングのほうがはるかに素晴らしいといっても異論はないだろう。
かつてフォーカスRSが証明していたように、この4気筒ユニットも素晴らしいエンジンだが、伝統的なアメリカン・マッスルカーにはV8に替わる存在などない。
マツダMX-5(日本名:ロードスター)
僅差であり、この小さなスポーツカーには英国でエントリーモデルに搭載されている1.5Lエンジンこそが相応しいという意見も理解出来る。
だが、特にビルシュタイン製ダンパーとリミテッドスリップディフェレンシャルを装備している場合、このクルマの優れたシャシー能力を引き出すには2.0Lこそが選ぶべきエンジンだ。
メルセデスAMG A45 S
A45 Sを運転してみるまでは、A35こそがまさにゴルディロックスの原理を体現していると思うだろう。
確かにA35も十分に素晴らしいモデルだが、ライバルたちのなかで傑出した存在とは言えない。
狂気のモデルであるA45 Sであれば、まさに特別な存在であり、そのシャシーもこのクルマに相応しい仕上がりを見せる。