【EVをより安全に】電気自動車 衝突時の安全性を高める技術 バッテリーとケーブルをいかに断つか
公開 : 2020.05.20 11:20 更新 : 2020.05.20 20:32
引火や、ケーブルからの発火など、EVに関する心配の声をよく耳にしますが、衝突時の安全を守るための、EVならではの構造への工夫や安全技術が、研究開発されています。今回はそれについて、詳しくお話しします。
電気自動車の衝突時の安全性
電気自動車に関して、衝突時の安全性や、それに対するメーカーの取り組みについての質問をよく耳にする。
引火して、大きな火災を起こすという負のイメージが先行しているが、電気自動車が、従来の化石燃料を使った自動車と比べ、より危険なものという訳ではない。
すべてのクルマは、エネルギーに依存しており、バッテリー、ガソリン、ディーゼルのいずれを搭載していても、自動車が蓄えるエネルギーは、大きな衝突で放出される可能性がある。
異なるパワートレイン間の燃費を比較する際に使用されるMPGeの算出時には、ガソリン1ガロン(3.78L)に含まれるエネルギー量は、多くの小型EVに採用されているバッテリーと同等の、約40kWh相当と考えられている。
EVバッテリーは、熱暴走により発生した熱が、損傷を引き起こし、より多くの熱が放出されるため、従来の化石燃料モデルよりも少し注意が必要となっている。
バッテリーは数千の個別のセルで構成されており、バッテリーの一部がアクティブでエネルギーを含んでいる状態にある場合、完全に消火するのは困難だろう。
損傷したバッテリーがあると、バッテリーが完全に壊れるまで、熱暴走が再発する可能性がある。
バッテリーへの損傷を最小限に
衝撃による高電圧バッテリーへの損傷を最小限に抑えるため、メーカーは車両アーキテクチャへのアプローチを再考している。
完全に収納され、フロアに取り付けられたバッテリーは、守られた空間を提供するが、衝撃のエネルギーをバッテリーから、そらすことも重要となってくる。
ポールスターは、第2のEVモデル用に「SPOCブロック」という、フロント隔壁の両側に設置された2つのアルミニウムブロックを開発した。
ブロックは、部分的にオフセット衝突時に、前輪がバッテリーコンパートメントに入り込むのを最小限に抑える。
また、フロントロウアーロードパス(FLLP)と呼ばれる、衝撃の力を逃がす構造も備えており、正面、または電柱などへの衝突による衝撃から、バッテリーと乗員を守る。
側面衝突は、最も危険な衝突の1つであり、エネルギー吸収ドア、サイドシル、Bピラー構造と共に、インテリアトリム、サイド、カーテン、シートに取り付けられたエアバッグが、乗員を保護するために採用されている。
ポールスター2には、フロントシートのサイドエアバッグが装備されており、乗員を両側から保護する。